インサイドセールス vs. フィールドセールス:どちらがキャリアに有利か?

営業の世界では、時代の変化とともに働き方が多様化し、従来の対面営業に加えてデジタルを活用した新しいスタイルが確立されてきました。特に、インターネット環境の進化やリモートワークの普及により、「インサイドセールス」と「フィールドセールス」という2つの営業手法が注目を集めています。営業職としてのキャリアを築くうえで、どちらの選択がより有利なのかを考えることは、多くのビジネスパーソンにとって重要なテーマとなっています。

インサイドセールスは、電話やメール、オンラインミーティングを駆使して非対面で営業活動を行う手法であり、近年、SaaS業界を中心に急速に拡大しています。一方で、フィールドセールスは、顧客との対面での商談を重視し、信頼関係を深めながら契約につなげる伝統的な営業スタイルです。それぞれに特有のメリットや課題があり、キャリアパスの方向性によって適した働き方が異なります。

 

インサイドセールスとは?

インサイドセールスとは、主に電話、メール、オンラインミーティングなどのデジタルチャネルを活用して営業活動を行う手法です。マーケティングオートメーション(MA)ツールやカスタマーリレーションマネジメント(CRM)を駆使し、効率的にリードを獲得しながら、見込み客の育成(リードナーチャリング)を行う役割を担います。

この営業スタイルの最大の利点は、業務の効率化にあります。対面営業では1日に訪問できる顧客の数が5件程度に限られることが多いですが、インサイドセールスでは1日あたり20〜50件の商談を進めることが可能です。移動時間を削減できるため、より多くの顧客対応が実現できるのが大きなメリットです。インサイドセールスではデータを活用した営業が可能になります。CRMやMAツールを駆使することで、顧客の行動データを分析し、購買履歴やウェブサイトの閲覧履歴を基に最適なアプローチができます。このようにデータドリブンな戦略を採用することで、より効果的な営業活動を展開することができます。

さらに、リモートワークが可能である点も特徴的です。オフィスに出社する必要がないため、ワークライフバランスを重視する方や、育児や介護と仕事を両立したい方にとって適した働き方といえます。一方で、インサイドセールスには課題も存在します。非対面でのやり取りが中心となるため、顧客との信頼関係を築くには時間がかかることがあります。また、言葉だけで顧客の関心を引き、契約へと導く必要があるため、的確なヒアリングスキルや説得力が求められます。コミュニケーション能力が高く、論理的に話すことが得意な方には向いていますが、対面でのやり取りを重視する方にはやや難しさを感じるかもしれません。

 

フィールドセールスとは?

フィールドセールスは、顧客先を訪問し、対面で商談を行う営業手法です。特に、高額商品やカスタマイズが必要なソリューション商材(例:エンタープライズ向けITシステム、不動産、精密機械など)では、フィールドセールスが不可欠となります。対面での商談が可能になるため、顧客との信頼関係を築きやすいのが最大の強みです。実際に顔を合わせながらのやり取りができることで、相手の反応を見ながら柔軟な提案が可能になり、より深い関係を構築しやすくなります。特に、大型案件や複雑な商材を扱う場合には、対面での説明が欠かせません。

また、フィールドセールスでは交渉力やプレゼンテーションスキルを磨くことができます。顧客と直接対話することで、即座に疑問を解決しながら商談を進めることができるため、成約率が向上する傾向にあります。しかし、フィールドセールスにはいくつかのデメリットもあります。例えば、移動時間や宿泊費などのコストが発生する点が挙げられます。1日に訪問できる顧客数は3〜5件程度にとどまり、営業効率がやや低くなることがあります。また、リモートワークが難しく、出張や外出が多いため、柔軟な働き方を希望する方には不向きな側面もあります。

 

キャリアの選択:どちらが有利か?

インサイドセールスとフィールドセールス、それぞれのキャリアパスは異なります。インサイドセールスは、データ分析スキルやマーケティングの知識を活かすことができるため、将来的にマーケティングマネージャーやカスタマーサクセス、さらにはプロダクトマネージャー(PM)へとキャリアアップする道が開かれています。一方、フィールドセールスは、対面での交渉力を強みに、営業マネージャー、営業部長、さらには経営層(CSO、CEO)へとステップアップする道が考えられます。特に、企業の主要顧客との関係構築を得意とする営業パーソンは、将来的に大きな案件を担当し、影響力のあるポジションに就く可能性が高まります。

 

転職市場の動向

現在の転職市場では、特にIT業界においてインサイドセールスの求人が増加傾向にあります。SaaS企業ではインサイドセールスチームがマーケティングと連携し、リードの創出から商談設定までを担うため、成約率の向上が期待されています。
一方、フィールドセールスの需要も依然として高く、特にBtoBの製造業や金融業では、対面営業が重要視される傾向にあります。顧客と直接対話することで、競合との差別化を図ることができるため、これらの業界ではフィールドセールスが必要不可欠な存在となっています。

 

まとめ

インサイドセールスとフィールドセールスのどちらがキャリアに有利かは、一概には決められません。自分のスキルや適性、志向するキャリアパスを考慮し、適切な営業スタイルを選択することが重要です。デジタルツールを活用しながら業務効率を高め、データドリブンな営業を行いたい方はインサイドセールス、顧客との直接的な関係構築や交渉スキルを重視する方はフィールドセールスが適しているでしょう。
転職を検討する際には、業界の動向や企業文化、自身のライフスタイルを考慮しながら、最適な選択をしてください。

カテゴリ
ビジネス・キャリア

関連記事

関連する質問