カーボンクレジットビジネスの最新動向!環境ビジネスでキャリアを築くには?

地球温暖化対策が世界的な喫緊の課題となる中、「カーボンクレジットビジネス」が今、大きな注目を集めています。企業の温室効果ガス排出量を削減・吸収した分を“クレジット”として取引するこの仕組みは、持続可能な社会と経済成長の両立を目指す新たな環境ビジネスとして成長を続けています。

実際、世界のカーボンクレジット市場は2021年時点で約10億ドル規模とされていましたが、2027年には2,500億ドル規模に拡大するとの試算もあります(※1)。その成長に伴い、日本国内でも多くの企業が脱炭素経営の一環としてクレジットの活用を始めており、この分野での人材需要も急増しています。

 

環境ビジネスの新常識「カーボンクレジット」とは?

カーボンクレジットとは、企業や自治体が温室効果ガスの排出削減または吸収活動を行い、その成果を「1トン=1クレジット」として数値化したものです。このクレジットは他の企業と取引することができ、排出量を超えた分を他者に“売る”ことで経済的利益を得る一方、逆に削減が困難な企業はクレジットを“買う”ことで排出量を補填できます。

日本では環境省主導の「J-クレジット制度」が導入されており、再生可能エネルギーの活用、省エネ機器の導入、森林整備などを通じて創出されたクレジットが登録・販売されています。2023年度時点で、J-クレジットに参加するプロジェクト数は累計で1,000件を超え、その多くが中小企業による自主的な取り組みです。

 

環境分野でのキャリア形成とは?

この急成長分野でキャリアを築くには、環境工学や経済学の知識だけではなく、実務的なスキルが求められます。具体的には、CO₂排出量の算定やライフサイクルアセスメント(LCA)、温室効果ガス排出量報告のための国際基準「GHGプロトコル」への理解が必要不可欠です。

さらに、環境関連コンサルティング企業やESG(環境・社会・ガバナンス)投資を行う金融機関、再エネ系スタートアップ、さらには環境庁や地方自治体の脱炭素プロジェクトチームなど、多様な職場が選択肢として広がっています。特に近年では、カーボンクレジットの透明性向上のためにブロックチェーン技術を活用するベンチャー企業への転職事例も増えており、ITと環境の融合領域が注目されています。

 

今求められるスキルと実務対応力

企業が環境対策を進める上で欠かせないのが「プロジェクトを前に進める力」と「多様な関係者との調整力」です。たとえば、ある企業が太陽光発電によるクレジットを創出する場合、設備導入担当、会計・財務チーム、環境評価チーム、さらに外部の検証機関との密接な連携が必要となります。

このような場面では、専門知識に加えて、部門間を橋渡しするコミュニケーション能力や、社内外の意見を調整しながら前向きな合意を形成するファシリテーション力が求められます。環境という抽象度の高いテーマを、ビジネスの成果として定量的に表現できる人材が、今強く求められています。

 

環境ビジネスで未来を切り拓く

カーボンクレジットビジネスは、環境保全という社会的価値と、ビジネスとしての経済的利益の両方を追求できる希少な分野です。2050年カーボンニュートラル実現に向け、日本政府は年間最大150兆円規模の環境関連投資が必要だと試算しています(※2)。この流れを受け、企業の環境戦略に携わる人材の価値は今後ますます高まっていくでしょう。

もし今、あなたが転職やキャリアチェンジを考えているなら、自身のスキルや経験を「環境貢献」という視点から再整理してみてはいかがでしょうか。環境ビジネスは、自己成長と社会貢献を両立できるフィールドであり、あなたの次のステップにふさわしい舞台になるかもしれません。

※1:World Bank “State and Trends of Carbon Pricing 2022”
※2:経済産業省「グリーン成長戦略実行計画(2023年改定版)」

カテゴリ
ビジネス・キャリア

関連記事

関連する質問