転職する前にやってみるべき「自分の立ち位置」の変え方

「職場の人間関係がつらい」「会社の方針に納得できない」――そう感じながらも、今すぐ転職や異動に踏み切るのは現実的ではないと悩む人は少なくありません。実際、株式会社エン・ジャパンが行った調査によると、職場に不満を感じている人のうち約68%が「辞めたいとは思うが、現実的に行動できていない」と回答しています。

では、環境が変えられないのであれば、私たちはただ我慢し続けるしかないのでしょうか。

答えは「いいえ」です。自分の置かれた環境そのものを変えるのが難しいときでも、自分の「立ち位置」や「視点」を変えることで、状況は大きく動き出す可能性があります。

 
職場での「立ち位置」とは何か?

「立ち位置」という言葉には、物理的な場所という意味だけでなく、人間関係の中での役割やスタンス、心理的な距離感など、広い意味が含まれています。たとえば、「いつも周囲の顔色をうかがってしまう人」が、「自分の意見を持つ人」という意識に切り替えるだけで、同じ職場でも見える景色は変わってきます。

私たちは、無意識のうちに自分に合わない立場を演じてしまっていることがあります。周囲に合わせることが正しいと思い込んでいたり、頼られることが自分の価値だと錯覚していたりすることもあります。しかし、自分の本音や得意分野に即した立ち位置を意識して選び直すことができれば、職場でのストレスは格段に減っていきます。

 
小さな変化が人間関係に与える大きな影響

立ち位置を変えるといっても、大きな決断や改革を必要とするわけではありません。むしろ、日常のささやかな行動の中に変化の芽があります。
これまで「何でも引き受けてしまう」ことが習慣だった方が、「まずは一度持ち帰って考える」と伝えるだけで、周囲の対応や期待値は自然と変化していきます。また、「会議中はなるべく発言を控えていた」人が、「一つだけ自分の意見を伝える」ことを意識するようになると、存在感や信頼感が高まることもあります。

こうした小さな行動の変化は、自分がどんな関係性を築きたいのかという意志の表れでもあります。自分の立ち位置を丁寧に整えることは、より良いコミュニケーションの土台になります。

 
心理的な距離をとることで職場のストレスを軽減

「上司の言葉がいつも刺さってしまう」「同僚の態度が気になって仕事に集中できない」といった悩みは、実は心理的な距離が近すぎることが原因かもしれません。

心理学では、相手と自分との間に「認知的距離」をとることで、感情に巻き込まれずに対処できるとされています。たとえば、「上司に怒られた=自分を否定された」と感じていた場面を、「業務上の指摘」と客観的にとらえ直すだけで、精神的な負担はぐっと軽くなります。必要以上に相手の評価に左右されず、「私は私」という軸を持つことで、感情の振れ幅を抑えられるようになるでしょう。

このような視点の切り替えも、立ち位置の再定義のひとつです。対人関係で疲れを感じやすい方ほど、この「距離感の調整」は非常に有効な手段となります。

 
働く環境は変わらなくても、自分の視点で世界は変えられる

環境が変わらないことを嘆くのではなく、「今の自分にできること」に目を向けていく。それが、自分のキャリアを主体的に歩むための第一歩です。
心理学には「リフレーミング」という言葉があります。これは、物事の見方を変えることで、新たな意味や価値を見いだす方法です。「この仕事ばかり押し付けられる」と感じていた業務も、「自分が信頼されている証拠」と捉え直せば、モチベーションが変わってきます。
このように、視点や解釈を柔軟に持つことで、働く毎日が少しずつ前向きなものに変わっていきます。

 

自分の「立ち位置」に目を向けることで、働き方は変えられる

働く環境に不満を感じても、すぐに辞めるわけにもいかず、悩みを抱えたまま働く人は多くいます。ですが、環境が変わらないからこそ、「自分の立ち位置をどう定めるか」が重要な鍵になります。

  • 心理的な距離を整える

  • 小さな行動で関係性を調整する

  • 自分らしいスタンスを意識する

こうした視点をもつことで、ストレスを和らげ、自分らしく働く道が開かれていきます。職場の空気や人間関係に振り回されるのではなく、自分の視点で働き方を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

カテゴリ
ビジネス・キャリア

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