家やマンションの売却は人生の大きなイベントのひとつです。しかし、「どこから始めればいいのか」「価格設定は正しいのか」など、多くの不安や疑問が生じます。整理し、成功に導く具体的なステップや査定依頼の方法について詳しく解説します。

売却の現状と成功のために知っておきたいこと

2024年現在の日本の不動産市場では、エリアや物件の種類によって価格や売却の困難さが大きく異なります。首都圏の中古マンションは平均価格が7,980万円（70㎡換算）で、前年比4.2%上昇するなど、かなり高い需要があります。不動産の価格は築年数や周辺環境、交通アクセス、近隣の成約事例など、多岐にわたる要素に影響されます。これらの要素を適切に準備することが、売却を成功させるための第一歩です。

売却を考える際のメリットと注意点

不動産を売却する最大のメリットは、資金の確保ができるポイントです。 例えば、築20年のマンションを3,500万円で売却し、住宅ローンの残債が1,500万円だった場合、手元に約2,000万円が残ります（諸経費を除きます）。また、固定資産税や管理費、修繕積立金といった年間50万円〜100万円の維持費が削減できるため、家計への負担も軽減されます。 さらに、住み替えや老後資金の確保、新しい投資への活用など、ライフスタイルに応じた選択肢が広がる点も大きな魅力です。

ちなみに、資金が1%上昇するだけで、住宅ローンを利用する購入者の購入力は約10%低下し、売却価格にも影響が出る可能性があります。また、愛着のある住まいを手放すことや、複雑な手続きを進めることへの心理的負担も無視できません。売却を検討する際には、これらのメリットと対策を冷静に比較し、自分にとって最適な選択を見極める必要があります。

不動産売却の流れと成功するためのステップ

不動産売却のプロセスは、査定から始まります。査定は、物件の価値を正しく認識し、適正価格を設定するための重要なステップです。不動産会社による訪問査定では、実際に物件を訪問して設備や内装、周辺環境を確認し、精度の高い価格を提案してもらえます。一方、机上査定は物件の情報をもとにデータから確実に算出する方法で、迅速な対応が可能ですが、精度は訪問査定よりも低めです。また、一括査定サイトを活用することで、複数の不動産会社から査定を受け、比較検討できます。

かつて、東京都内の築10年、3LDKのマンションで、駅から徒歩5分という好条件の物件の場合、訪問査定で提示された価格は4,800万円〜5,200万円の範囲でした。ベースに売る主が最適な不動産会社を選び、販売活動を開始したところ、内覧を3回実施した後に4,950万円で売却が成立しました。このように、査定価格の慎重さを確認し、販売活動を丁寧に進めることで、スムーズな売却が実現できます。

売却活動の準備と成功のポイント

売却活動を始める際には、必要な書類を整えることがスムーズに進む必要があります。また、内覧に向けた準備も重要です。クリーニングを実施して室内を清潔に保つだけでなく、小さな修繕やリフォームを行うことで、物件の印象を大きく改善できます。内覧の際、第一印象が大きな影響を与えるため、家具の配置や照明の調整など細かい部分まで配慮しましょう。

販売活動中には、広告の内容や見せ方も成功の鍵となります。不動産ポータルサイトやSNSを活用し、物件の魅力を最大限にアピールすることで、多くの購入候補者にリーチできる可能性があります。

売却後の手続きと税金のポイント

不動産売却後は、いくつかの重要な手続きや税金の支払いが発生します。これらを正確に正しく判断し、適切に対応することで、不測のトラブルを回避できます。

1. 譲渡所得税の計算と支払い

不動産を売却すると、「譲渡所得税」が発生する場合があります。 譲渡所得税は、売却益（譲渡所得）に対して課される税金で、以下のように計算されます。

譲渡所得は、売却価格から取得費（購入価格や購入時の諸費用）と売却時の諸費用（仲介手数料、登記費用、リフォーム費用など）を差し引いた金額です。すべての期間が5年未満の場合は「短期譲渡所得」となり、約39.63%、5年以上の場合は「長期譲渡所得」となり、約20.315%に軽減されます。

例：

• 販売価格: 3,500 万円
• 取得費: 1,800万円
• 売却時の諸費用：300万円
  この場合、譲渡結果は1,400万円となり、長期譲渡であれば税額は約284万円となります。

なお、「3,000万円特別控除」の特例が適用される場合、譲渡結果から3,000万円が差し引かれるため、金銭額が大幅に減少することがあります。

2.確定申告と必要書類

譲渡結果税の支払いに関しては、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行う必要があります。申告に必要な書類として、以下が挙げられます。

• 売買契約書
• 取得時領収書（購入費用や諸費用の記録）
• 売却時諸費用の領収書（仲介手数料、リフォーム費用など）
• 住民票（3,000万円を利用する場合）

これらを事前に揃えておくことで、申告手続きがスムーズになります。 また、税務署や税理士に相談することで、不明点を解消し、手続きの適用漏れなどを防ぐことができます。

正しい知識と準備が成功の鍵

家やマンションの売却は、正しい知識と準備が成功の鍵です。市場動向を把握し、信頼できる不動産会社と連携することで、スムーズかつ満足のいく結果を得ることができます。そして、自分の物件がどのような価値を持つのかを確認することから始めましょう。その後、適切な計画を立て、丁寧に売却プロセスを進めていくことで、新たな一歩を安心して踏み出せるはずです。