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赤ちゃん主導の離乳食(BLW)ってどうなの?自分で食べる力を育む新しい育児法

離乳食を始める時期になると、多くの親御さんが「どんな方法で始めるべきか」と悩みます。スプーンで親が一口ずつ与える従来のスタイルが一般的ですが、最近注目されているのが「BLW(Baby-Led Weaning)」という赤ちゃん主導の離乳食の方法です。SNSや育児アプリを通じて話題となり、「うちの子にもやってみようかな」と興味を持つご家庭が増えています。しかし、まだ日本では馴染みが浅いため、不安や疑問を感じる方も少なくありません。

赤ちゃん主導の離乳食(BLW)とは?

BLWとは「Baby-Led Weaning」の略で、赤ちゃんが自分の手で食べ物を掴み、自分のペースで食べ進めていく離乳食のスタイルです。2000年代にイギリスのギル・ラプレイ医師によって提唱され、その後ヨーロッパやアメリカを中心に広まりました。
この方法では、親がスプーンで食べさせるのではなく、赤ちゃんが大人と一緒の食卓に座り、手づかみで食べるという体験を通して、食への関心や習慣を育てていきます。
一般的には、生後6か月ごろで首がすわり、しっかりと座ることができるようになったタイミングが、BLWを始める目安とされています。

 
BLWの魅力:自立と発達を育む育児法

BLWは単なる「手づかみ食べ」ではなく、赤ちゃんの発達や生活習慣にも良い影響を与える育児法です。食べ物を自分で選び、手で掴み、口に運ぶという一連の動作を繰り返すことで、さまざまな能力が自然と育っていきます。

たとえば、食べることに対する好奇心が高まり、「食事=楽しいもの」と感じるようになることで、偏食や食べムラが減少しやすくなる傾向があります。そして、さまざまな形や固さの食材を噛むことであごの筋肉が鍛えられ、滑舌や発声にも良い影響を与えるといわれています。
手先を使って食べ物をつまむ動きは、指先の感覚や運動機能を高める知育にもつながります。日々の食卓が「学びの場」になるのは、BLWの大きな魅力です。

 
BLWの課題とリスク、そして工夫

一方で、BLWにはいくつかの注意点も存在します。最も大きな懸念は、誤嚥(ごえん)のリスクです。大きすぎる食材や硬いものを誤って飲み込んでしまうと、窒息の危険があります。対策としては、柔らかく茹でた野菜をスティック状にするなど、月齢に合わせた調理法が重要です。

BLWはどうしても食べこぼしが多く、掃除が大変になるという声も多く聞かれます。実際、床や服、テーブルまわりは毎回汚れることが前提です。そのため、撥水加工のエプロンや床マットなどの育児アイテムを活用することで、ストレスを減らしやすくなります。さらに、赤ちゃんが自由に食べ物を選ぶスタイルでは、つい好きなものばかりを食べてしまい、栄養バランスが偏る心配もあります。とくに鉄分やたんぱく質、水分補給には意識を向けながら、母乳やミルクと併用するのが現実的です。

 
BLWを安心して始めるためのポイント

BLWを無理なく家庭に取り入れるには、いくつかの工夫が役立ちます。まず大切なのは、「完璧を目指さないこと」です。最初はほとんど食べない日もありますが、それは自然なことです。食事を通して遊び、学び、自分の体と向き合う時間として見守る姿勢が求められます。
調理面では、にんじんやかぼちゃなどをスティック状にカットし、電子レンジや蒸し器で柔らかく仕上げると、赤ちゃんの手にフィットしやすく、安全に食べやすくなります。最近では、BLW専用のレシピを掲載した育児アプリやブログも多数あり、手軽に献立を参考にできます。

また、SNSでは同じようにBLWを実践する家庭のリアルな声が多く共有されており、「1人で悩まず、誰かとつながれる」心強さも感じられるようになっています。

 
家庭に合った「ほどよいBLW」のすすめ

BLWはあくまでも「選択肢のひとつ」です。家庭の生活リズムや親の性格、赤ちゃんの気質によっては、従来のスプーンによる離乳食のほうが合っている場合もあります。実際、BLWとスプーン食を併用しながら、その日の状況に応じて柔軟に対応しているご家庭も多く見られます。
「うちは毎日完璧なBLWじゃないけれど、朝はBLW、夜はスプーンで」というようなハイブリッド型でもまったく問題ありません。大切なのは、赤ちゃんの「自分でやってみたい」という気持ちを大切にしながら、家庭が無理なく継続できる方法を見つけることです。

まとめ:赤ちゃんの「主体性」を食卓から育てる

赤ちゃん主導の離乳食(BLW)は、ただの育児トレンドではなく、子どもの「主体性」や「自立心」を早い段階から育てる知育的なアプローチでもあります。食べ物を通して得られる体験は、赤ちゃんにとって一生の基盤となる大切な学びです。もちろん、すべてがうまくいくとは限りませんし、親も悩みながらの毎日です。しかし、BLWという選択肢を知ることによって、「離乳食=親が食べさせるもの」という固定観念から一歩離れ、より自由で柔軟な子育てが可能になります。
赤ちゃんの成長と、家族の心地よい暮らしのバランスを大切にしながら、楽しく無理なく離乳食を進めていきましょう。

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