子ども用の薬と大人の薬の違いとは:安全な服用ルール
日常生活の中で、風邪や発熱、腹痛などの体調不良に対処するため、私たちは薬を使用します。しかし、子どもと大人では体の仕組みが異なるため、薬の選び方や服用方法にも大きな違いがあることをご存じでしょうか。何気なく与えた薬が、子どもの体に予想外の影響を及ぼすこともあり、正しい知識を持つことが大切です。
間違った服用方法は、薬の効果を十分に発揮させることができなかったり、副作用を引き起こしたりする原因になります。
子ども用の薬と大人の薬の基本的な違い
子ども用の薬は、大人用の薬と比較して有効成分の含有量が少なく調整されていることが特徴です。子どもの体は発達途中であり、特に肝臓や腎臓の機能が未熟なため、薬の成分を分解・排出する能力が低く、大人と同じ量を服用すると過剰摂取となるリスクがあります。一般的な解熱鎮痛剤であるアスピリンは、大人には問題なく使用できますが、子どもがインフルエンザや水ぼうそうにかかった際に使用すると、ライ症候群という重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、15歳未満の子どもには使用が推奨されていません。
薬の形状にも違いがあります。大人用の薬は錠剤やカプセルが主流であるのに対し、子ども用の薬は粉薬やシロップ、ゼリー状のものが多く、飲みやすいよう工夫されています。また、苦味を抑えるために甘い味付けが施されていることも特徴で、例えば、子ども用の解熱シロップにはストロベリーやグレープのフレーバーがついており、飲みやすさを重視した設計となっています。
服用方法に関しても、大人の場合は水やぬるま湯で薬を飲むのが一般的ですが、子どもの場合はスプーンやスポイトを使ってシロップを飲ませることが推奨されています。粉薬は少量の水やジュースに溶かして飲ませることもありますが、グレープフルーツジュースのように薬の効果に影響を与える可能性がある飲み物は避けるべきです。
子どもに薬を服用させる際の安全ルール
子どもに薬を服用させる際には、いくつかの重要なポイントがあります。まず、大人用の薬を子どもに与えることは避けなければなりません。大人用の薬を「量を減らせば大丈夫」と考えて子どもに与えることは、非常に危険です。例えば、一般的なかぜ薬に含まれる成分のうち、カフェインやエフェドリンなどの興奮作用を持つ成分は、子どもにとって強すぎる影響を与える可能性があります。そのため、必ず子ども専用の薬を使用するようにしましょう。
また、医師や薬剤師の指示を守ることも大切です。病院で処方された薬は、子どもの体重や年齢に応じて適切な用量が決められています。そのため、自己判断で量を増減させたり、兄弟姉妹で使い回したりするのは避けましょう。市販薬を購入する際にも、薬剤師に相談し、年齢や体重に適したものを選ぶことが重要です。
服用時間も正しく守る必要があります。薬には、食前・食後・食間など、服用するタイミングが指定されている場合があります。例えば、抗生物質の一部は食事と一緒に摂取すると吸収率が低下するため、空腹時に飲むよう指示されることがあります。また、解熱鎮痛剤は食後に服用することで胃への負担を軽減できるため、適切なタイミングを守ることが大切です。
薬の保管方法にも注意が必要です。子どもが誤って薬を飲んでしまう事故を防ぐため、薬は手の届かない場所に保管しましょう。特に、シロップ剤やカラフルな錠剤は、お菓子と勘違いして飲んでしまうことがあるため注意が必要です。使用後はしっかりと蓋を閉め、冷暗所で保管するのが望ましいです。
市販薬と処方薬の違い
病院で処方される処方薬と、ドラッグストアで購入できる市販薬には、それぞれ異なる特徴があります。処方薬は、医師の診察を受けたうえで個別に処方されるため、患者の症状や体質に最適な成分や量が決められています。例えば、喘息の治療に用いられる吸入ステロイド薬は、患者ごとに細かく調整されるため、自己判断で使用すると効果が薄れたり、副作用が出る可能性があります。
一方、市販薬は、比較的軽い症状に対応できるように成分が調整されており、誰でも購入できる手軽さがあります。しかし、子どもに適した市販薬を選ぶ際には、成分表示を確認し、年齢や体重に合ったものを選ぶことが重要です。子ども用の解熱剤として広く使用されるアセトアミノフェンは、用法・用量を守れば比較的安全な薬ですが、過剰摂取すると肝臓に負担をかける可能性があるため注意が必要です。
こんな時は病院へ!受診の目安
薬を服用しても症状が改善しない場合や、以下のような症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう。38.5℃以上の高熱が3日以上続いている場合や、呼吸が苦しそうで顔色が悪いとき、嘔吐や下痢がひどく水分補給ができない場合には、すぐに医療機関に相談することが大切です。また、薬を飲んだ後に発疹やかゆみが出た場合や、ぐったりして呼びかけに反応しにくい状態が続く場合も、速やかに病院で診察を受けることが必要です。
まとめ
子ども用の薬と大人の薬には、有効成分の含有量や服用方法、形状など多くの違いがあります。特に、大人用の薬を子どもに与えるのは危険であり、必ず子ども専用の薬を使用し、医師や薬剤師の指示を守ることが重要です。適切な薬の使い方を学び、子どもの健康を守るための知識を身につけましょう。
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