同じ「お雑煮」なのになぜこんなに違う【福岡県福岡市・愛知県一宮市】

ローカリティ!
筆者撮影:1月1日 神奈川県横浜市の自宅にて

お正月に欠かせない料理といえば、お雑煮(ぞうに)。
全国どこでも食べられている定番料理ですが、地域が違えば、まったく別物になることをご存じでしょうか。

今回注目したのは、 福岡県福岡市東区のお雑煮と、愛知県一宮市のお雑煮。

主人は福岡出身で、私は愛知出身。

結婚して初めて主人の実家で出されたお雑煮を見たとき、あまりにも実家のものと違って驚いたことを今でもよく覚えています。

同じ「お雑煮」という名前なのに、見た目も味もまったく違う、二つの地域のお雑煮について調べてみました。

福岡市東区のお雑煮|ぶりが主役の具だくさん雑煮

福岡市東区を含む博多周辺では、ぶり入りのお雑煮が定番です。

主人の実家は、ぶりではなく鶏肉を入れてアレンジしています。家族の好みでアレンジすると、より家庭の味になりますね。筆者撮影:1月1日
特徴

丸餅(焼かないのが基本ですが、主人の実家では焼いていました)
ぶり(福岡では縁起物のぶりをお祝いごとによく使われる魚)
里芋・ごぼう・にんじん・かまぼこ・かつお菜など具だくさん
だしは あご(飛魚)や昆布ベース

ぶりは「出世魚」であることから、一年の成長や家族の繁栄を願う意味が込められています。

また、博多ではかつて「嫁ぶり」と呼ばれる風習がありました。結婚した夫婦の新郎の実家から新婦の実家に、年末にぶりを送るというもので、そのぶりがお雑煮の具材として使われるようになったのが起源だともいわれています。

かつお菜は福岡特有の野菜です。 漢字で「勝男菜(かつおな)」と書くことから、縁起が良いという理由で使われるようになりました。

全体として、コクがあり、うまみが強く、食べごたえのあるお雑煮という印象です。

愛知県一宮市のお雑煮|すっきり上品、角餅のすまし仕立て

一方、愛知県一宮市を含む尾張地方のお雑煮は、驚くほどシンプル。

※画像はフリー素材を使用しています
特徴

角餅を煮るのが基本
具は少なめ(正月菜とかつお節のみの家庭が多い)
かつおだし中心の澄まし汁仕立て

味付けは控えめで、素材の味を生かした、すっきりとした仕上がりです。

愛知県尾張地方で、正月のお雑煮に欠かせない伝統野菜が“もち菜”です。別名「正月菜」とも呼ばれます。「菜=名」「もち=持ち」から、「名を持ち上げる」縁起物として、江戸時代の尾張藩では、武家たちが縁起担ぎに食していたといわれています。

手に入らない場合は小松菜で代用されることもあります。

派手さはないものの、 毎日でも食べられそうなやさしい味。お酒の後にも軽く食べられるあっさり素朴なお雑煮です。

なぜ、ここまで違うの?

この違いの背景には、地理・食材・歴史があります。

海が近く、魚文化が根づく福岡
内陸で、だし文化が発達した尾張地方
丸餅文化(西日本)と角餅文化(東日本寄り)の境界(おおまかな境界線は岐阜県の関ケ原周辺と考えられています)

お雑煮は、その土地で手に入る食材を使うことが多い一方で、必ずしもその土地の特産品に限られるわけではありません。縁起担ぎや語呂合わせで具材が選ばれていたり、あえて手に入りにくい具材を使ってもてなしの意を表したりすることもあります。

さらに、家庭ごとにアレンジが加えられ、そこにはそれぞれの家庭の歴史や思いが込められている場合も。

「違い」を知ると、お正月が楽しくなる

どのお雑煮が正解ということはありません。 同じ日本の中でも、これほど多様な「お正月のかたち」があります。

それを知ると、全国のお雑煮の歴史や、それぞれの家族が歩んできた物語にも、自然と興味が湧いてきます。お雑煮は、その土地の暮らしと家族の歴史が詰まった一杯です。
お雑煮を囲みながら、地域や家族の文化について語り合う。そんな会話も、お正月ならではの楽しみかもしれません。

情報提供元:ローカリティ!

森田かえ
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カテゴリ
[地域情報] 旅行・レジャー

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