スマートフォンと防災講座を活用した災害対策のすすめ

日本は地震や台風などの自然災害が多い国です。2023年には地震発生回数が年間約2,000回、台風被害額が4,000億円を超えるなど、災害は私たちの生活に大きな影響を与えていました。このような災害から身を守るためには、日頃からの備えが重要です。
スマートフォン(スマホ)は、実は防災対策において強力なツールになります。また、防災講座に参加することで、実践的なスキルや知識を得ることも可能です。

 

スマートフォンを活用した防災対策

総務省の調査によれば、2024年時点でスマホの普及率は86.8%に達し、ほとんどの家庭で利用されています。この高い普及率を背景に、スマホは「個人用防災ツール」としての可能性を広げています。スマホは日常的に使用するデバイスでありながら、防災のための情報収集や行動準備にも非常に役立ちます。

1.災害情報アプリを導入する

災害時には迅速かつ正確な情報が必要です。スマホに災害情報アプリをインストールしておくと、時には緊急時でも正しい行動が取れるようになります。2022年の豪雨災害では、スマホの災害情報アプリを利用していた人の避難率が通常の1.5倍に達したというデータもあります。

おすすめのアプリ

  • 防災情報アプリ
    地震や津波警報を急遽通知します。台風接近時には、具体的な進路予測も提供されます。
  • Yahoo!防災速報
    自治体の避難指示や避難所情報がプッシュ通知で届きます。約1,000万ダウンロードを突破したアプリです。
  • NHKニュース・防災アプリ
    ライブ映像や地域ごとの詳細情報を提供します。テレビが視聴できない状況でも利用可能です。
2. 避難経路を確認・保存する

災害時には迅速な避難が求められますが、内閣府のデータによると、自宅周辺の避難所を認識している人は全体のわずか37%です。これを補うために、地図アプリを活用しましょう。

  • Googleマップ
    自宅や職場周辺の避難所を「お気に入り」に登録しておくと、災害時にすぐアクセスできます。
  • オフライン地図の利用
    事前に地図データをダウンロードしておくと、通信が途切れた状況でもルートの確認が可能です。

さらに、避難所の状況を確認できる自治体の連携アプリを活用することで、より安全な選択が可能になります。

3.緊急連絡手段の準備

災害時通信ネットワークの混乱が発生し、電話やインターネットが利用できない場合があります。総務省のデータでは、災害時通話成功率が通常の30%以下に低下することが報告されています。状況に備えた対策が必要です。

推奨の緊急連絡手段

  • 災害用伝言パネルサービス
    NTTドコモ、au、ソフトバンクが提供するサービスで、家族や友人の安否確認が可能です。
  • SNSの活用
    Twitterでは「#災害」「#避難所」などのハッシュタグを活用することで、随時情報の収集が可能です。
  • メッセージアプリ
    LINEやWhatsAppでグループを作成し、緊急時の連絡網を確保します。 特にLINEは、利用者のうち90%以上が日本国内でアクティブユーザーであり、安定した通信手段となります。

 

防災講座で得られる知識とスキル

内閣府の調査によれば、災害時に正しい行動を取れると自信を持って答えた人はわずか24.7%に留まっています。この数字からもわかるように、多くの人が災害への備えや知識に不安を感じています。防災講座は、その不安を解消し、以下のような効果をもたらします。スマートフォンを活用するだけでなく、防災講座に参加することで災害時に必要な知識やスキルを具体的に学ぶことができます。

1. 災害時の初動対応

地震発生時「身を守る三原則」や火災時の避難ルート確認など、緊急時の行動指針を学べます。

  • 地震発生時「身を守る三原則」(姿勢を低く、頭を守り、揺れが収まるまで動かない)
  • 火災時の避難ルート確認と煙を避ける方法
2. 非常用持ち出し袋の準備

何を入れるべきかだけでなく、アイテムの選び方や使用方法を実際に試すことができます。

  • 必須アイテム:水、食料、医薬品、ライト
  • 推奨アイテム: モバイルバッテリー、簡易トイレ
3. 避難所での生活

避難所でのストレスを軽減するためのプライバシー確保や、長期生活における工夫を学びます。

4. 災害リスクの分析と備え

地域のハザードマップを活用してリスクを特定し、それに応じた対策を立てます。

 

防災講座の種類と選び方

防災講座は、自主的な活動や自主団体、オンラインプラットフォームなど、さまざまな形で提供されています。講座は主催者や形式によって内容が異なり、自分のライフスタイルに合ったものを選ぶことが重要です。

自治体主催の講座
自治体が無料で提供する講座では、地域特有の災害リスクについて詳しく学べます。地元の避難所情報や危険マップの見方を重視して選ぶことが多いです。

オンライン講座
忙しい方でも自宅で受講できるオンライン講座は、「防災基礎講座」や「地震に備える実践講座」など、短期テーマを網羅しています。無料のものから有料のものまで選択肢が豊富です。

民間企業による講座
民間企業が提供する講座は、非常時に役立つ具体的な使い方や災害リスク管理を理解し、実践的な内容が魅力です。

 

スマホと講座を組み合わせた準備のすすめ

スマホは日常的に使うツールでありながら、防災対策の強力な味方になります。また、防災講座を受講することで、いざというときの知識とスキルを身につけることができますので、より効果的な備えが可能になります。
災害は予測が難しいからこそ、日頃の備えが大切です。今からでもスマホを活用した防災対策や防災講座の受講を始めてみてはいかがでしょうか?

カテゴリ
大規模災害

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