心理的安全性の高い職場とは?信頼が生まれるチームづくりのポイントを解説

心理的安全性という言葉は、組織づくりにおける重要なキーワードとして定着しつつあります。しかし、その言葉の意味をなんとなく理解していたり、自社の現状にしっくり当てはめられないケースは少なくありません。

働き方が大きく変わり、リモートワークやハイブリッド勤務が一般的になったことで、職場での雑談や自然な声かけの機会は大きく減少しました。その結果として、社内の見えない安心感が少しずつ揺らぎ、気づかないうちに心理的安全性が低下している企業さまも増えています。

特に、厳しい上下関係や成果主義の中で働いてきた世代にとっては、「心理的安全性」という言葉が、甘い・ぬるいものとして受け取られてしまうこともあり、概念そのものが誤解されやすい側面があります。

今回は、社内コミュニケーションサービス「GRATICA」の担当スタッフにも話を聞きながら、実際の企業支援の現場で見えてきた課題や、改善のためのヒントをまとめました。

心理的安全性の基本から、低下したときに現れるサイン、回復のためのアプローチ、そしてGRATICAを通じて見えてきた実践的なポイントまで、現場で役立つ形で解説していきます。

心理的安全性とは、安心して行動できる状態のこと

心理的安全性とは、「発言しても不利益を被らない」「失敗しても責められない」と安心して発言や行動をできる状態を指します。

単に雰囲気が良いということではなく、提案・質問・相談・挑戦・失敗の共有など、ためらいがちな行動を自然に取れる環境が特徴です。

心理的安全性とは、自分の意見や不安をそのまま表現しても不利益を受けない、と感じられる状態を指します。話しやすい雰囲気があるだけではなく、提案・質問・相談・失敗の共有など、行動にブレーキをかける要素が少ない状態のことです。

人は「否定されるかもしれない」「迷惑に思われるのではないか」と感じると、自然と慎重になり、必要な場面でも本音を控えるようになります。心理的安全性とは、これらの不安を最小限に抑え、行動の自由度を確保するための土台です。

心理的安全性が高い職場では、情報共有が早く、問題の早期発見がしやすくなります。提案の量も増え、改善が回りやすくなり、メンバーが自分の役割に主体的に取り組むようになります。これは個々人の心理状態だけでなく、チーム全体の生産性や学習スピードにも直結します。

一方で心理的安全性が低い職場では、行動が縮こまり、必要な言葉が出てこなくなります。誰かが抱えている小さな問題が共有されず、時間が経ってから大きな課題として浮き上がることも少なくありません。つまり心理的安全性は、日々の働き方と成果の「底面」を支える見えないインフラのような存在と言えます。

安心できる職場は、仲が良いだけでは成立しない

心理的安全性を、仲の良さと混同してしまうケースは少なくありません。しかし本質的に重要なのは、仲の良さではなく「弱さや迷いを出しても大丈夫と感じられるかどうか」です。

ここで押さえておきたいのは、心理的安全性は決して、「ぬるい」「なあなあ」な関係性を指すものではないということ。なんでも許される、なれ合いのような関係性ではなく、必要な場面では率直な意見が言える、適切な緊張感をふまえた関係性こそが心理的安全性の本質なのです。

仲が良くても、ミスが言えなければ心理的安全性は高くありません。逆に、普段は淡々と仕事をしていても、困ったときに素直に助けを求められるチームは心理的安全性が高いと言えます。心理的安全性は、感情的な親しさよりも信頼できる関係かどうかで決まります。

その信頼は、一気に築けるものではありません。感謝や気づきを言葉にすることや、困っている人への声かけなど、日々の小さなやりとりの積み重ねが、安心できる関係の基盤になるのです。

心理的安全性が低い職場で起きている、見えない変化

心理的安全性が不足している職場では、目立った問題が起きる前に、小さな変化が積み重なっていきます。GRATICAが企業支援の中で出会うケースでも、この見えない変化が共通して見られます。

意見が出なくなり、必要な情報が表に出てこない

心理的安全性が低い環境では、まず発言の減少が始まります。「こんなことを言っていいのだろうか」「間違っていたら恥ずかしい」といった気持ちが、意見や質問を抑え込んでしまいます。

報告や相談も、必要最低限の情報だけを簡潔に伝えるという形に寄りがちで、背景や理由を共有しないため、チーム内での理解にズレが生まれます。また、ミスや不安が初期段階で共有されないため、課題の発見が遅れ、問題が大きくなってから気づくこともあります。

これは決して怠慢ではなく、そうするほうが安全だと感じてしまう心理が働いているためです。

雑談が減り、人間関係が表面的になる

心理的安全性が低下すると、日常の雑談が少なくなり、人間関係が表層的になります。雑談は余談だけではなく、人間関係の潤滑油として重要な役割を果たすものです。雑談が消えると、「頼ってもいい」「声をかけてもいい」という安心感がなくなり、相談や依頼のハードルが上がります。

特にリモートワークに移行した企業では、雑談の機会が自然には生まれにくく、気づけば必要なことだけを淡々と伝える関係になってしまうこともあります。この状態は心理的安全性を大きく下げる要因になります。

管理職が慎重になりすぎ、チームが守りに入る

心理的安全性の低下は、管理職にも直接影響します。「厳しい指導が誤解されるのではないか」「強く言いすぎてしまうとハラスメントと思われないか」という不安が、管理職の行動を慎重にしすぎてしまうことがあります。

その結果、メンバーの改善ポイントに踏み込めなかったり、挑戦を後押しするような働きかけが弱まったりします。こうした管理職の萎縮が、チーム全体を守りのモードに押し込め、心理的安全性の低下をさらに加速させることがあります。

リモートワークと心理的安全性の関係を考える

リモートワークは、働く場所や時間の柔軟性を高め、多くの企業に有益な効果をもたらしています。一方で、オンライン中心のコミュニケーションに変わることで、心理的安全性の感じ方に変化が起きることも確かです。

業務自体は滞りなく進んでいても、「以前より人間関係が見えにくい」「気軽に相談しづらい」といった声が生まれやすくなります。

その背景には、オンラインでは表情や声のトーンなどの非言語情報が減り、相手の状態を読み取りにくくなるという特徴があります。対面なら自然に気づける変化が見えづらくなるため、「今声をかけてもいいのか」「迷惑ではないか」と遠慮が生まれやすく、コミュニケーションが少しずつ慎重になりがちです。

リモートワークでは意図的に安心を補う工夫が重要です。対面では自然に生まれていた軽い雑談や気遣いの場面の代わりに、感謝やねぎらいを伝える機会をつくったり、人間関係の温度を可視化する仕組みを取り入れることで、距離があってもつながりを感じられる状態を保ちやすくなります。

GRATICAのような感謝の可視化ツールは、オンライン環境で不足しがちな見えない安心を補う手助けになります。

心理的安全性は「感謝の可視化」によって大きく育つ

心理的安全性の中心にあるのは、信頼です。そして信頼は、特別な研修や制度よりも、日々の小さな承認によって育まれます。GRATICAが多くの企業さまを支援する中で強く実感しているのは、「感謝を見える形で届ける」という行為は、心理的安全性に最も直結する行動のひとつだということです。

形に残る感謝は、日常の安心を影から支える

感謝の言葉は、口頭で伝えてもチャットで送っても、その瞬間に消えてしまいます。仕事のスピードが速い現代では、せっかくの気持ちが流れていくことも少なくありません。

しかし、GRATICAのように「形として残る」感謝は、時間が経っても見返すことができ、受け取った側の安心にもつながります。

「あのときの行動を見てくれていたんだ」「努力を認めてもらえているんだ」といった実感は、言葉以上の信頼を生み出します。

感謝を伝えるプロセスが関係を深め、相互理解を生む

カードを贈るとき、人は必ず相手の行動を思い返します。どんなカードがふさわしいかを考える時間は、相手の存在に向き合う時間でもあります。

これは、メッセージを送る行為を超えた価値です。受け取った側は「自分のために時間を使ってくれた」という事実に安心を覚え、送り手は「相手を丁寧に見よう」とする意識が自然と育ちます。

このような小さな積み重ねが、心理的安全性の基盤となる信頼の層を厚くしていくのです。

心理的安全性が高まったときの組織の変化

心理的安全性は、雰囲気が良くなるだけのものではありません。個人・チーム・組織、それぞれのレイヤーに具体的な変化をもたらします。GRATICA導入企業さまでも同様の変化が共通して見られます。

そして心理的安全性が育まれた組織では、お互いに踏み込んだフィードバックや建設的な意見交換がしやすくなり、健全な切磋琢磨の関係性が生まれます。ぬるい、甘いといった関係ではなく、率直に意見を言い合える強いチームへと変化していくのが大きな特徴です。

個人が前向きに動き、成長の速度が上がる

感謝される機会が増えると、誰でも役に立てているという自信が生まれます。特に若手社員にとっては、この実感が大きな成長エネルギーになります。

「自分が何を評価されているのか」が明確にわかると、仕事へのモチベーションや行動の質が大きく変わります。また、周りの良い行動にも目が向くようになり、自然と他者への承認が増えるというポジティブな循環が生まれます。

心理的安全性があるからこそ、ただの褒め合いではなく、より良い成果に向けた提案やフィードバックも受け止めやすくなり、個人の成長速度がさらに加速します。

チームの価値観がそろい、協働が自然に進む

心理的安全性が高いチームでは、日々の承認が積み重なることで、チームとして大切にしたい姿勢や行動が自然と共有されます。どんな行動が評価されるのかがわかり、チーム全体の価値観がそろっていくのです。

GRATICAを導入している企業さまからは、「カードがきっかけで雑談が生まれる」「話したことのない部署間でも交流が生まれた」という声も多く寄せられています。

気軽に話せる空気こそが心理的安全性の表れであり、協働の質を高める大きな要素になります。さらに、信頼関係が整うことで、遠慮せず意見をぶつけ合えるようになり、チームとしての判断が洗練されていきます。心理的安全性は、なれ合いではなく、互いに高め合う関係へ導いてくれます。

組織のつながりが可視化され、早期のフォローが可能になる

心理的安全性が低下したチームの深刻な問題は、変化に気付きにくいこと

GRATICAのように感謝のやりとりが可視化されると、組織内のつながり方に偏りが生じていないか、誰かが孤立していないか、といった情報が早い段階で把握できます。

これは管理職だけでなく人事にとっても大きなメリットです。問題が大きくなる前にフォローできるため、組織全体の安定につながります。

心理的安全性は空気のように実態がないものに感じますが、実はデータとして捉えられる側面も持っているのです。

心理的安全性をデータで捉えるツールとは?

心理的安全性を高める方法は多岐にわたります。その中で、感謝を可視化するサービス「GRATICA」が多くの企業さまで成果を上げているのは、「気持ちを伝えやすい仕組み」「続けやすさ」「可視化」という3つの特徴が掛け合わさっているからです。

  1. 多彩なカードが気持ちを伝えるハードルを下げる
    1500種以上のカード、ただデザインが豊富であることだけが魅力ではありません。カードの雰囲気や世界観が、文章だけでは伝えきれない感情の温度を補ってくれます。
    普段は口にしづらい気持ちでも、カードに乗せることでスムーズに伝えられるケースは多くあります。立場や関係にこだわらず「言いづらい感謝」を伝える後押しになったという声は多く寄せられています。

  2. 感情が動く設計が、行動の継続を生む
    カードを贈る、受け取る、読むといった一連の流れには、必ず小さな感情の動きが生まれます。この感情こそが、次の行動を生み出す原動力になります。
    心理的安全性は行動の総量で変わるため、この自然と行動が生まれる仕組みは非常に強力です。感謝を伝える習慣が無理なく続くことで、チーム全体の空気もゆっくり変わっていきます。
    カードとして形に残ることで、受け取った側の自信や自己効力感が高まり、その後の行動にも良い影響を与えます。

  3. 関係性の偏りを可視化し、必要なフォローを早期に行える
    GRATICAでは、日々の感謝のやりとりがタイムラインやデータとして蓄積されます。誰が誰に感謝を送り、どの部署同士がつながり、どこに偏りがあるのかが自然と見えるため、早い段階でケアが必要な箇所を把握できます。
    リーダーや管理職が一歩先の気づきを得られることは、心理的安全性の維持に欠かせないポイントです。

  4. 「ありがとうの背景」が可視化され、貢献活動が組織に広がる
    カードには、「ありがとう」という気持ちが書かれるだけではなく、「ありがとう」が生まれた背景や具体的な行動も文章として残ります。
    「ありがとう」の背景の可視化によって、受け取った側は「自分の行動が認められた」と実感でき、周囲にもその貢献活動が共有されます。
    可視化されるのは感情だけではなく、誰がどのように支え合っているのか、という物語(ナラティヴ)です。日常では埋もれやすい良い行動がデータとして残ることで、個人の自信につながり、チーム内の認知の偏りも自然と解消されていくでしょう。

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心理的安全性を育てるために、今日からできること

心理的安全性は、一度整えれば終わりというものではありません。日々の細かな行動の積み重ねによって、維持し続ける必要があります。

特別な制度を用意しなくても、日常の小さな声かけや配慮を積み重ねることで、チームの空気は大きく変わっていきます。ここでは、今日からすぐに取り入れられる実践的なアプローチを紹介します。

小さな承認を日常化する

誰かの努力や良い行動に気づいた瞬間、短いひと言でもいいので、その場で伝える習慣を持つことは、心理的安全性の土台づくりに欠かせません。「ありがとう」「助かったよ」といったシンプルな言葉でも、受け取る側にとっては大きな安心につながります。

大げさな褒め言葉である必要はなく、気づいた時点で気軽に伝えることが大切です。この小さな承認の積み重ねが、「このチームでは自分の行動が見てもらえている」という実感につながり、メンバーが前向きに意見や相談を出しやすい雰囲気を育てていきます。

プロセスに目を向ける姿勢を持つ

成果や数字は目に見えますが、そこに至るまでの努力や工夫は見落とされがち。心理的安全性の高いチームでは、結果だけでなくプロセスをしっかり拾い上げ、評価する文化が根づいています。

「その工夫いいね」「ここまでの準備、大変だったよね」といった声かけは、成果以上にメンバーの自信を支えます。プロセスを見てくれる存在がいると、人は安心して挑戦できるようになり、「評価されるための行動」ではなく「より良い成果を目指す行動」に自然とシフトしていきます。信頼をつくるうえでも、この姿勢は非常に重要です。

相談のハードルを下げる「普段の会話」を大切にする

心理的安全性が保たれるチームでは、困ったときだけでなく、普段から気軽に話しかけられる雰囲気があります。雑談、ちょっとした気遣いの声かけ、何気ないアイスブレイクなど、日常の会話が、相談しやすさを下支えしています。

業務の話だけで終わる関係では、いざ困りごとを共有しようとしても躊躇が生まれがちです。逆に、日頃から軽いコミュニケーションを積み重ねていると、心理的な距離が縮まり、相談のハードルが自然と下がります

「あの人なら話しやすい」という感覚が生まれることで、課題の早期共有にもつながります。

仕組みとして心理的安全性を支える

心理的安全性を人の気遣いだけに頼るのは、どうしても限界があります。忙しい時期やチームの変化によって、承認や声かけが一時的に減ってしまうこともあります。だからこそ、組織として心理的安全性を維持できる仕組みを用意しておくことが大切です。

GRATICAのように感謝を可視化して蓄積できるツールは、日常の承認を無理なく継続させるサポートになります。誰が誰を支えているか、どこにコミュニケーションの偏りがあるかといった情報を自然に確認できるため、心理的安全性の維持に必要な気づきを増やすことができます。

こうした仕組みがあることで、個人に依存せず組織全体で心理的安全性を支えていくことが可能になります。

まとめ

心理的安全性は、制度だけでは生まれません。人と人が互いを尊重し、日常の中で感謝や気づきを伝え合うことで、段階を重ねて育っていくものです。

「見てもらえている」「認められている」「ここなら安心して行動できる」といった感覚が根付くと、人は自然と前向きに動き、チームはつながりを深め、組織全体の力が引き出されます。

GRATICAは、その日常の積み重ねをサポートし、組織がより安心して協働できる環境づくりに寄り添っています。

あなたの職場の心理的安全性は、今日のひと言、今日の一枚から変わりはじめるかもしれません。

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