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30歳で引退⁉ Z世代が選ぶ“マイクロリタイアメント”の理由

「30歳で引退します」――そんな一言が、SNS上で話題になる時代がやってきました。しかも、それは一部の富裕層や特別な才能を持った人たちだけの話ではありません。ごく普通のZ世代の若者たちが、あえて早期に「働くこと」から一歩引き、人生の主導権を自分に取り戻そうとしているのです。彼らが選ぶのは、“マイクロリタイアメント”という新しいライフスタイル。華やかなキャリアを追い求めるのではなく、最低限の収入で必要な分だけ働き、残りの時間を「本当にやりたいこと」に使うという選択です。

 

情報過多の時代に育ったZ世代の選択

Z世代は、デジタルネイティブとして育った最初の世代です。幼少期からスマートフォンやSNSに触れ、世界中の情報にリアルタイムでアクセスできる環境で生きてきました。その結果、従来型の“人生の成功モデル”に対する疑問を早い段階から抱き始めています。
大企業に就職し、定年まで勤め上げるという生き方が、必ずしも幸福に直結するとは限らないことを、SNSで可視化された他人の体験から学び取っています。自分らしさや心の余裕を重視するZ世代にとって、「働く=苦役」という発想は受け入れがたく、むしろ“必要な分だけ働き、あとは自分の時間を大切に使う”という選択肢が、現実的で魅力的に映っています。

 

マイクロリタイアメントとは何か?

マイクロリタイアメントとは、通常のリタイアメントよりも早い段階で仕事を一時的に、あるいは半永久的に辞め、自由な生活に移行するライフスタイルを指します。完全に働かないわけではなく、副業や投資などの収入源を持ちつつ、必要最低限の生活費で暮らす「ミニマムライフ」がそのベースです。
Z世代は「今を大切にしたい」「心の余裕を持ちたい」と考え、自らのライフプランを再構築しています。特に20代後半から30代での“早期引退”は、キャリアの途中であっても、自分らしい生活のために再出発する一つの選択肢となっているのです。

 

副業と投資が支える自由な生活

Z世代のマイクロリタイアメントを支えているのは、収入源の多様化です。クラウドソーシングによるデザインやライティングの仕事、YouTubeやInstagramを活用した広告収益、さらには仮想通貨や株式投資など、多くの選択肢が手の中にあります。
中でも「副業+投資」という組み合わせは、特に支持されています。つみたてNISAやiDeCoといった少額から始められる制度を活用しながら、20代から長期的な資産形成を目指す人が増えているのです。月に数万円でも不労所得があれば、生活の基盤が安定し、早期引退も現実味を帯びてきます。

 

セカンドライフという“もう一つの人生”

マイクロリタイアメントは、単なる“仕事からの逃避”ではありません。Z世代は、退職後の生活において「自分の価値観に沿った活動」や「社会とのつながり」を大切にする傾向があります。地域活動への参加、スローライフの実践、旅をしながらのリモートワークなど、第二の人生を自らデザインする意識が強いのが特徴です。
従来の「リタイア=老後」というイメージを覆し、人生の途中に“余白”や“実験期間”を設けるこの考え方は、人生100年時代において新たな可能性を広げています。

 

これからは「何歳まで働くか」ではなく「どう生きたいか」

日本では「定年後の老後資金」が長らく議論されてきましたが、Z世代の動向は、その考え方に一石を投じています。たとえ30歳でも、収入と支出のバランスを自ら設計し、無理なく生きる術を身につければ、「引退」は人生の終着点ではなく、通過点になり得るのです。
「もっと自由に」「もっと自分らしく」。マイクロリタイアメントは、Z世代が情報化社会の中で育んだ合理的かつ柔軟な生き方のひとつです。これからの時代は、「何歳まで働くか」ではなく、「どう生きたいか」が問われる時代になるでしょう。

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社会

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