“子どもの教育費”準備、いつからどう始めるべきか?

子どもが生まれると、成長の喜びと同時に将来への備えが気になってきます。その中でも特に悩ましいのが「教育費」です。小学校から高校、そして大学へと進学するにつれて必要な費用は年々増えていき、習い事や塾などの支出も含めれば、家庭の負担は決して軽くありません。しかし、「何歳から、どのくらい備えればよいのか」「どの手段が効率的なのか」といった疑問を明確に解決できず、手探りのまま時間だけが過ぎてしまう方も多いのではないでしょうか。

 
教育費はどれくらい必要?年齢ごとの支出を見通す

教育費と聞くと、大学の学費が思い浮かびがちですが、実際には幼少期から少しずつ費用は発生しています。文部科学省の統計では、すべて公立の学校に進学した場合、幼稚園から大学卒業までに必要な費用は約540万円。対してすべて私立を選んだ場合、その総額は1,800万円を超えるとされています。
この金額には、学費だけでなく、給食費や教材費、制服代、修学旅行費など、いわゆる「学校外費用」も含まれています。さらに、最近では小学生の段階から複数の習い事に通う子どもが増えており、1人あたり年間10万〜30万円ほどが必要となるケースも見られます。
中学生になると、定期試験や高校受験に備えて塾通いが本格化し、年間50万円以上の塾代がかかることも珍しくありません。高校・大学に進学すれば、授業料のほかに入学金、教科書代、通学定期代、さらには一人暮らしを始める場合は生活費まで加わり、支出は一段と大きくなります。

このように、教育費は一時的に必要になるものではなく、子どもの成長とともに断続的に積み重なっていく支出であることがわかります。進学ルートにかかわらず、ある程度の柔軟性をもった備えが求められるでしょう。

 
教育費の準備は「早め」がカギ、児童手当の活用も

子どもの将来を見据えて、できるだけ早い段階から準備を始めておくことが望ましいです。たとえば大学進学の際に必要とされる入学金や学費、生活費などを合わせると、1人あたり300万円〜500万円を目安に備えておくと安心です。仮に0歳から18年間で500万円を積み立てると考えると、1年あたり約28万円、月に直すと2万3,000円前後の積立が必要になります。こうした金額を一度に用意するのは難しくても、毎月少しずつ積み立てることで、大きな安心につながります。

特に、0歳から支給される「児童手当」は有効な資金源になります。たとえば中学卒業までの15年間に全額を貯蓄にまわすと、トータルで約200万円〜250万円の蓄えをつくることができます。生活費に余裕がない場合でも、この手当を“教育専用”として管理するだけでも、将来の負担軽減に大きく役立ちます。

 
教育資金をどう準備する?貯蓄と運用の選択肢

教育費の備え方にはさまざまな方法がありますが、大きく「貯蓄型」と「運用型」に分けて考えると整理しやすくなります。貯蓄型の方法としては、銀行の積立定期預金や財形貯蓄が挙げられます。利率は低いものの、元本が保証されており、計画的に続けられる安心感があります。さらに、学資保険を活用すれば、万一の場合の保障を確保しつつ、大学進学時などに合わせてまとまった資金を受け取れるという利点もあります。
一方、少しでも増やすことを意識するなら、つみたてNISAやジュニアNISAといった制度を利用した運用型の方法も検討の価値があります。積立投資は市場の変動リスクを伴いますが、長期的に取り組めば、インフレにも強く、預金よりも高いリターンが期待できる場合もあります。月々5,000円程度からでも始められるため、まずは少額から挑戦してみるのも一案です。
大切なのは、ライフステージや家計状況に合わせて無理なく続けられる方法を選ぶことです。複数の方法を組み合わせることで、より安定した資金計画を立てることができます。

 
子どもの進路選択に備える柔軟な資金計画

子どもが将来どのような進路を選ぶかは、年齢を重ねるごとに変わっていきます。最初は公立を希望していても、本人の意志や適性によっては私立中学への進学や留学を目指すこともあるでしょう。親としては、そうした進路の変化にも対応できるよう、あらかじめ柔軟性のある資金計画を立てておくことが大切です。
進路の選択肢を狭めないためには、「最低限必要な教育資金」と「進路変更に対応できる予備費」を分けて準備しておくと安心です。とくに中学生以降は、塾代、模試代、交通費など、見えにくい費用が増える傾向があります。進学費用ばかりに目を向けるのではなく、こうした“日常の学び”にかかる費用も意識しておくことが、家計の予測精度を高めるポイントになります。
教育資金の準備において重要なのは、「いくら必要か」を明確にすることよりも、「どのような変化にも対応できる下地をつくること」かもしれません。進路の選択肢を広げるためにも、親が先回りして備えておくことは、子どもにとっての安心にもつながります。

まとめ:未来の安心は、今の行動から生まれる

子どもの教育費は一朝一夕で準備できるものではありませんが、少しずつ積み上げていくことで、確実に備えが形になっていきます。無理に完璧を目指すのではなく、自分たちの暮らしに合った方法で、早い段階から準備を始めることが大切です。まずは児童手当の活用や、月々5,000円からの積立を始めてみるなど、できることから一歩を踏み出してみましょう。将来、子どもがどんな道を選んでも応援できるように、今この瞬間の判断と行動が、家族の未来を支える力になっていきます。

カテゴリ
学問・教育

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