日々の生活に追われる中で、「何もしない時間が欲しい」と感じたことはありませんか？仕事や家事、SNS、時間に追われるスケジュール――そんな現代人の心を癒やしてくれる休日の過ごし方として注目されているのが「グランピング」です。

自然と快適さを両立した新しい旅

グランピング（glamping）は、「グラマラス（魅力的な）」と「キャンピング（野外宿泊）」を組み合わせた造語で、海外では2005年頃から広まり、近年では日本各地でも急速に施設が増加しています。2024年現在、国内には約300カ所以上のグランピング施設が存在しており、北海道から沖縄まで、多様な自然環境を活かした体験が可能です。
従来のキャンプのようにテントを張ったり、食材を準備したりといった手間は一切不要です。ドーム型テントやコテージには、ベッドや空調、Wi-Fiまで完備されており、キャンプ初心者でも安心して宿泊できます。施設によっては温泉やエステ、地元の食材を使用した本格的なフルコースディナーを提供するところもあり、まさに“何もしない”ことを楽しむための環境が整っています。

“何もしない”ことが心と体を整える理由

私たちの脳は、常に情報処理に追われています。とくに都市生活では、1日に触れる情報量は江戸時代の人々の1年分とも言われるほど。そのため、意識的に“静寂”をつくることが、心身のリセットにつながります。心理学では「マインドワンダリング（心の迷走）」を抑える効果があるとして、自然の中での静かな時間が推奨されています。ある調査によると、森林浴を30分行うことで、ストレスホルモンであるコルチゾールの濃度が平均13.4%低下したというデータもあり、グランピングのように自然の中でゆったりと過ごす時間は、科学的にもリラックス効果が実証されています。

朝は鳥のさえずりで自然に目覚め、昼はハンモックに揺られながら読書や昼寝を楽しむ。夜には焚き火の揺らぎを眺めながら、普段話せないような家族やパートナーとの会話が自然に生まれる。これらの“何気ない時間”こそが、現代人にとっては最も必要な癒しとなるでしょう。

誰でも楽しめる贅沢な非日常

「アウトドアは体力がいる」「小さな子どもがいると無理」と思われがちですが、グランピングはそのハードルを軽やかに超えてくれます。バリアフリー設計の施設も増えており、年配の方や妊婦さんでも安心して利用できます。また、犬や猫などペットと一緒に泊まれる施設もあるため、家族全員での旅行が可能になります。
また、子育てや仕事に追われる30代～50代の働く世代にとって、“何もしない”という贅沢は、自分を取り戻すための大切な時間となります。普段はスケジュールに縛られがちな私たちですが、グランピングでは時間の流れそのものが変わったかのように感じられます。1泊2日の短い滞在でも、心のリセットには十分な効果があります。

“何もしない”って、こんなに心地いい

日常のストレスに追われる今だからこそ、意識的に「何もしない時間」をつくることが大切です。グランピングは、その時間を特別な体験へと変えてくれる理想的な手段です。何かをしなければというプレッシャーから解放され、ただ自然に身をゆだねるひととき。“何もしない”という贅沢な時間が、きっとあなたの心と体を優しく整えてくれます。そんな新しい休日のかたちを、次の旅でぜひ体験してみてはいかがでしょうか。