子どものLINE、親はどこまで干渉すべき?

LINEをはじめとするSNSは、今や子どもたちにとって欠かせないコミュニケーションの手段となっています。学校の連絡事項から友達との会話、趣味の共有まで、日常の多くがスマートフォンの画面の中で展開されている時代です。

しかしその一方で、親としては「何を話しているのか」「トラブルに巻き込まれていないか」と気がかりになることも少なくありません。
目に見えないSNSのやりとりに対して、どのように関わるのが正解なのか。干渉しすぎても信頼関係に影を落とし、無関心でいれば子どもを孤立させてしまうかもしれない――そんな葛藤を抱える方に向けて、今回は“ちょうどいい距離感”を考えていきます。

 

SNS時代に生きる子どもたちのリアル

小学生の中学年から高学年になると、自分用のスマートフォンを持ち始める子が増えてきます。特に中学生になると、LINEグループのやりとりが日常化しており、誰とどのようにつながっているかは、もはや親には把握しきれないほど多様化しています。

2023年に実施された調査によると、小学5年生の約65%、中学1年生では90%以上がLINEを利用しているというデータがあります。SNSを使うことでコミュニケーションが広がる一方で、「既読スルー」「仲間外れ」「グループ外し」など、言葉以外の“見えにくい関係性の圧力”にさらされている子どもたちも少なくありません。LINEは単なる便利な連絡手段ではなく、人間関係の温度が可視化される場でもあり、そこに大人の想像を超えるストレスが潜んでいます。
ただし、そうしたストレスや不安をすべてLINEの中から読み取ろうとするのは現実的ではなく、また望ましくもありません。大切なのは、「親が信頼できる相手」として日頃から関係性を築いておくことにあります。

 

どこまで見守る? プライバシーと信頼の線引き

「LINEの中身を見せなさい」と言われて、素直に見せる子どもは少ないかもしれません。特に思春期に差しかかる年齢では、自分の世界を守りたい気持ちが自然と芽生えてきます。その感情を否定することは、子どもの人格を尊重しない態度にもなりかねません。

では、親はどのような姿勢で関わるべきなのでしょうか。

たとえば、「夜9時以降はスマホを使わない」「知らない人からの連絡には返信しない」など、基本的なルールを一緒に話し合って決めることは、親子の信頼関係を育てる第一歩になります。禁止するのではなく、理由を伝え、子どもが納得したうえでルールを共有することで、自主的な判断力も養われていきます。
また、親の関心が「管理」ではなく「見守り」であることが伝われば、子どもは安心して困ったときに相談しやすくなります。そうした環境づくりは、短期的には結果が見えにくいかもしれませんが、長い目で見ると信頼の土台を築く大切なプロセスです。

 

気づく力を磨く、“察する”という見守り方

実際にトラブルが起きたとき、子ども自身がそれを言葉にして親に伝えるとは限りません。そんなときに大切なのは、「いつもと違う小さな変化」に気づけるかどうかです。

急にスマートフォンを手放さなくなった、以前よりも表情が暗い、食欲や睡眠に影響が出ている、といった些細な兆しは、心のサインかもしれません。親は「LINEで何かあったの?」と直接聞くのではなく、「最近、何か気になることはある?」と声をかけることで、子どもが安心して話せるきっかけをつくることができます。
また、LINEやSNSの機能を大人がある程度理解しておくことも重要です。ブロックや通報、既読機能の意味など、トラブル時に具体的な対応策を一緒に考えられるだけの知識を持っておくことで、子どもからの信頼も自然と高まります。

寄り添う姿勢が、子どもを守る力になる

子どもとの関係において、最も強い絆となるのは“安心感”です。安心して話せる、失敗しても受け止めてもらえる、そんな関係性があれば、子どもはSNSで悩みを抱えたときにも親に頼ろうと思えるはずです。
そのためには、「否定せずに聴く」「すぐに結論を出さない」「一緒に考える」という姿勢が何よりも大切です。親が上から目線で指導しようとするのではなく、同じ目線で「どうしたらいいか考えようね」と言えること。それが、子どもの“自分で考える力”を育てることにもつながります。

 

まとめ:干渉ではなく、信頼を育てる関わり方を

LINEやSNSを通じたコミュニケーションは、子どもたちの世界に深く根づいています。親として不安や心配があるのは当然のことですが、その気持ちが「すべてを知りたい」という干渉に変わってしまうと、子どもの心は遠ざかってしまうかもしれません。
大切なのは、日頃の会話を通じて子どもの感情に寄り添い、困ったときには「話してみようかな」と思ってもらえる関係を築くことです。管理や監視ではなく、信頼と安心のもとで見守るという選択が、子どもにとっても親にとっても、より健やかな関係を育んでいく鍵になるのではないでしょうか。

カテゴリ
人間関係・人生相談

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