Z世代が求める「パーパス」とは何か?従来のリーダーシップが通用しない時代のマネジメント

価値観の変動がもたらすリーダーシップの再定義

かつての高度経済成長期や安定成長期において、リーダーシップとは「目標達成に向けた力強い牽引」と同義であったといえます。組織が掲げる数値目標に対し、いかに効率的にリソースを配分し、メンバーを鼓舞して完遂させるかという、上意下達のピラミッド型構造が機能していました。しかし、その前提条件は劇的な変化を遂げています。2024年に実施された意識調査によれば、Z世代の約7割が「仕事を通じて社会に貢献したい」という意向を持っており、これは上の世代と比較しても極めて顕著な傾向です。彼らにとって仕事とは、単に生活の糧を得る手段ではなく、自己のアイデンティティを表現し、社会との接点を持つための重要なプロセスとしての意味を帯びているのでしょう。

このような背景から、従来の「指示に従うことが美徳」とされるスタンスや、根拠の薄い精神論に基づくマネジメントは、もはや彼らの心に響かないどころか、組織への帰属意識を著しく低下させる要因になりかねません。ここで重要になるのが、組織が何のために存在し、どのような社会価値を創造しようとしているのかを示す「パーパス」という概念です。現代のリーダーに求められているのは、強い力で集団を引っ張る「牽引型」の姿勢ではなく、共通の目的を指し示しながら、メンバー一人ひとりの自律性を尊重して引き出す「共鳴型」の対話ではないでしょうか。管理による支配から、意味の共有による連帯へと、マネジメントのパラダイムシフトが確実に進行していると考えられます。

 

個人のパーパスと組織のミッションを同期させる技術

Z世代のマネジメントを成功させる鍵は、個人の人生観と組織の目指すべき方向性をいかに高い次元で結びつけるかという点に集約されます。彼らは「会社のために自分を犠牲にする」という滅私奉公の精神をほとんど持ち合わせていませんが、その一方で「自分の介在価値が明確に感じられる仕事」に対しては、驚くほどの集中力と献身性を発揮する側面があります。この高いエネルギーを引き出すためには、マネジャーによる画一的な管理を脱却し、一人ひとりの内面的な動機に深く踏み込んだコミュニケーションが不可欠となるでしょう。業務の進捗を確認するだけの対話ではなく、その業務が本人のキャリアや人生の目的にどう寄与しているのかを共に探求する姿勢が、リーダーには求められています。

デロイトが発表したミレニアル・Z世代年次調査を参照すると、自身の仕事に強い目的意識を感じている社員は、そうでない社員に比べて離職率が半分以下に抑えられるというデータも示されています。これは、リーダーが組織のパーパスを自分自身の言葉で語り、それがメンバー個人の志とどのように重なり合っているかを丁寧に翻訳して伝えることの重要性を物語っているのではないでしょうか。指示に従わせるという一方通行の関係性ではなく、共通の物語を共に編み上げていくパートナーとしての関係性を築くことが、結果として組織全体のエンゲージメントを底上げすることに繋がると期待されます。

 

権威に頼らないリーダーシップと心理的安全性の構築

かつてのマネジメントは、役職が持つ「権威」に基づいた指示系統によって成立していましたが、SNSを通じてフラットなコミュニケーションに親しんできた世代にとって、肩書きだけで人を動かす論理は通用しなくなっています。彼らが心からの敬意を払う対象は、役職の高さではなく、人間としての誠実さや、自身の専門性を惜しみなく共有し貢献しようとする利他的な姿勢です。このような環境下でリーダーが構築すべき土台は、失敗を過度に恐れず、誰もが臆することなく意見を表明できる「心理的安全性」の高い場であるといえます。Z世代は、正解のない不確実な時代を生きる中で、自分たちのアイデアが尊重されること、そして多様な価値観が認められることを何よりも重視する傾向があるためです。

また、彼らは情報の透明性に対しても極めて鋭い感覚を持っており、意思決定のプロセスが不透明であることや、一部の層だけで物事が決まっていく状況に強い違和感を抱く傾向が見受けられます。なぜその決定に至ったのかという背景を、客観的な数値や社会的な文脈を交えて誠実に説明するプロセスは、信頼関係を維持するための最低限の礼儀といっても過言ではありません。マネジメントの本質が「管理」から「支援」へと移行する中で、リーダーはメンバーが最大限のパフォーマンスを発揮できるよう障害を取り除く、サーバント(奉仕者)としての役割を担うことが、これからの組織運営において標準的な姿になっていくことが見込まれます。

 

予測不能な時代を生き抜く「パーパス経営」の未来像

私たちが今直面しているのは、過去の成功法則が通用しない、極めて予測困難な時代です。このような状況下においては、詳細な中長期計画を緻密に立てることよりも、組織の根幹となる「北極星」としてのパーパスを明確に定めることの方が、組織としての強靭さを養う上で有効であると思われます。細かなルールや指示で縛らなくとも、組織の存在意義が隅々まで浸透していれば、現場のメンバーは自らの判断で、その時々の状況に応じた最適な行動を選択できるようになるからです。Z世代を単なる「管理される側」として捉えるのではなく、共に新しい価値を創出していく対等なパートナーとして迎える視点が、持続可能な成長を目指す企業には欠かせません。

彼らが持つ繊細で鋭い感性は、現代の消費者のニーズを最も敏感に察知しており、もし彼らが組織に馴染めていないのだとすれば、それは彼らの問題ではなく、組織のOS自体が時代遅れになっているサインである可能性を考慮すべきではないでしょうか。新しいリーダーシップとは、かつての成功体験を勇気を持って手放し、若い世代と共に「私たちは何のために集まっているのか」という問いを絶えず更新し続けるプロセスそのものを指すといえます。パーパスを軸とした経営は、単なる流行やブランディングの手段ではなく、働く人々が人生の意味を見出し、困難を乗り越えるためのレジリエンスを獲得するための、最も根本的なインフラとなっていくことが期待されます。
リーダーが誠実にパーパスを体現し、個人の成長と社会の進化を重ね合わせたとき、組織は世代の壁を超えて、真に社会から必要とされる存在へと進化を遂げるに違いありません。

カテゴリ
人間関係・人生相談

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