朝起きた瞬間から頭の中はフル回転。「メールを返して、資料を仕上げて、夕方には打ち合わせもあって……」そんなふうに、やることリストに追われていませんか？

現代の私たちは、仕事に家事に予定にと、常に“タスクの洪水”の中で生きています。気がつけば、やるべきことは山積みなのに、1日が終わる頃には「結局、何も進んでない…」とため息が出てしまうことも。
そんなストレスフルな日々を少しでもラクにする方法として注目されているのが、「1日1優先」ルールというシンプルなタスク管理の考え方です。

「1日1優先」とは？

「1日1優先」ルールとは、その名の通り、1日の中で最も重要な1つのタスクに意識を集中させるという方法です。複数のことを同時に進めようとすると、かえって効率が落ちてしまったり、どれも中途半端になってしまったりすることがあります。このルールでは「今日はこれだけはやり遂げる」という“優先順位1位のタスク”を決めて、それだけに全力を注ぎます。
心理学の観点からも、人は一度に複数のタスクをこなすマルチタスクにはあまり向いていないことがわかっています。むしろシングルタスクに集中した方が、結果的にストレスも減り、達成感を得やすくなるのです。

なぜ「1つ」だけなのか？

人の脳は同時に複数のことを処理するのが苦手だとされています。特に重要なタスクが複数あると、それぞれに中途半端に取り組んでしまい、結局どれも終わらないまま時間だけが過ぎてしまうことが少なくありません。
「1つに絞る」ことで、脳のエネルギーを一点に集中させることができます。心理学ではこれを「選択と集中」の原則と呼び、集中力やモチベーションの維持にも効果的だとされています。また、明確なゴールがあることで、仕事への満足感や達成感も高まります。

実践のポイントとコツ

1. 朝一番に「今日の優先タスク」を決める

その日最も大切なことを、朝の時点で自分に問いかけてください。「これさえ終われば今日はOK」と思えることを1つだけ書き出すのがコツです。

2. できるだけ午前中に終わらせる

脳のエネルギーは午前中が最も高いとされており、重要なタスクはこの時間帯に片付けるのが理想です。午後は会議や急な用事に振り回されやすいため、朝に集中することが成功のポイントになります。

3. 他のタスクは「おまけ」として捉える

優先タスクが完了したら、それ以外の業務にも手をつけて構いません。ただし、無理に詰め込まず、余裕があればというスタンスで進めると気持ちもラクになります。

職場でも活かせる！「1日1優先」の効果

このルールは個人の生活だけでなく、職場でも活用することができます。上司との1on1ミーティングの中で「今週の最優先タスクは何か」を確認し合ったり、チーム内で共有することで、全体の方向性もブレにくくなります。
「今日は〇〇を最優先にしているので、他の対応は午後以降になります」といったように、自分の行動方針を明確に周囲に伝えることで、コミュニケーションもスムーズになります。

習慣化することで見えてくる変化

最初のうちは「たった1つでいいの？」と感じるかもしれません。しかし、毎日1つずつでも確実にタスクをクリアしていくことで、1週間で7つ、1カ月で30以上の成果を積み上げることができます。
「やるべきことが整理されて、気持ちもラクになった」「以前より仕事が進むようになった」と感じる人も多く、習慣化することで生活全体にポジティブな変化が表れてくるでしょう。