サブスクトラブル・偽サイト…まず相談すべき公的機関とは?

突然届いた不審なSMS。「お荷物のお届けに関する重要なお知らせ」という一文に不安を覚え、リンクを開いてしまったという経験はありませんか?あるいは、ネットで購入した商品が一向に届かず、販売元とも連絡が取れない…。そんなとき、どこに相談すればよいのか分からず、不安な気持ちだけが募ってしまう方も少なくないはずです。
私たちの生活に深く入り込んだインターネットやスマートフォンの普及により、便利さが増した一方で、詐欺や悪質商法に巻き込まれるリスクも年々高まっています。そうしたとき、頼れる公的機関の一つが「消費者センター」です。

 
消費者センターとは?全国にある、暮らしのトラブル相談窓口

消費者センターは、国や地方自治体が運営する消費生活に関する相談窓口です。全国の都道府県および一部市区町村に設置されており、誰でも無料で相談することができます。商品購入や契約に関するトラブル、スマートフォンやパソコンを利用したサービス上の問題など、あらゆる消費トラブルに対応しています。
2023年度には、国民生活センターを通じて年間約82万件の相談が全国から寄せられ、そのうち最も多かったのがインターネット通販に関するもの(約23万件)でした。相談者の年齢層は10代から80代以上までと幅広く、「誰にでも起こりうる問題」であることがうかがえます。
消費者センターでは、国家資格を持つ「消費生活相談員」が常駐し、状況の聞き取りとアドバイス、さらには事業者との連絡・調整(あっせん)を行うこともあります。必要に応じて、警察や弁護士などの他機関との連携も図ってくれるため、「どこに相談すれば良いかわからない」という段階でも気軽に利用できるのが大きな特徴です。

 
どんな詐欺やトラブルを相談できるのか?

「これは詐欺なのか、ただの勘違いなのか分からない…」そんなときこそ、消費者センターの出番です。被害に遭った後の相談はもちろん、被害に遭う前の「不安な気持ち」に寄り添ってもらえるのも大きな魅力です。たとえば、以下のようなトラブルについて相談できます。

● ネット通販詐欺

注文した商品が届かない、説明と異なる粗悪品が届いた、偽サイトで購入してしまったなどの事例は、毎年数万件寄せられています。特に海外の怪しい通販サイトに関する相談が増加傾向にあります。

● 架空請求・ワンクリック詐欺

サイトを見ていたら突然「利用料が発生しました」と表示され、支払いを促されるなどのケース。スマホ操作中の“ワンクリック”が、トラブルの原因になることもあります。

● フィッシング詐欺

金融機関や大手企業を装ったメールやSMSを通じて、個人情報やカード番号を盗み取る手口です。2023年には、フィッシング詐欺の被害件数が全国で1万件以上確認されています。

● サブスクリプション詐欺(定期購入型)

「初回無料」や「お試し価格」と謳いながら、実際には定期購入契約が自動的に結ばれていたという事例も目立ちます。解約が難しい仕様になっている場合も多く、注意が必要です。

● 高齢者を狙った訪問販売・電話勧誘

「屋根の点検が必要です」「水道工事が危ない」などと不安を煽り、不要なリフォームや商品を契約させる悪質商法も、現在進行形で被害が続いています。

 
相談するにはどうしたらいい?

一番簡単で覚えやすいのが、全国共通の短縮ダイヤル「188(いやや)」です。この番号に電話をかけると、自動的にお住まいの地域の消費生活センターにつながります。通話料のみで、相談はすべて無料です。
また、仕事や育児などで電話の時間が取れない方は、Web上の相談フォームも便利です。国民生活センターの公式サイトでは、24時間体制で相談を受け付けています。

相談時には、トラブルの概要をできるだけ詳しく伝えることがポイントです。具体的には、次のような情報が役立ちます。

  • 商品の注文履歴やメールの写し

  • 画面のスクリーンショット(SMSや請求画面など)

  • 相手業者の名前・電話番号・口座情報など

  • これまでのやり取りの履歴(LINE、通話録音など)

 
注意点:消費者センターが“できないこと”もある

消費者センターは、法的な権限を持つ機関ではありません。そのため、業者に対して強制的に返金させることや、刑事処罰を科すことはできません。
ただし、あっせんを通じて解決するケースも多く、解約や返金につながった成功例も数多くあります。また、悪質業者に関する情報を行政に報告することで、行政処分や摘発につながる可能性もあります。

 
まとめ:不安を抱えたら、まず「188」へ

詐欺や消費トラブルは、情報に敏感な人でも突然巻き込まれることがあります。特に最近は、「自分は大丈夫」と思っていた人が被害に遭う例も少なくありません。
「なんとなくおかしい」「ちょっと不安」――そんなときに早めに行動することで、被害を未然に防げることがたくさんあります。消費者センターは、そんなときに安心して相談できる、誰のための窓口でもあるのです。

カテゴリ
生活・暮らし

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