市販薬で本当に大丈夫?病院に行くべき症状の見極め方

風邪気味で熱っぽい、頭が重い、そんなとき「とりあえず市販薬で様子を見よう」と考えたことはありませんか?忙しい毎日のなか、病院に行く時間が取れない人にとって、市販薬は手軽で頼れる存在です。しかしその一方で、「この症状、本当に市販薬で大丈夫なのだろうか?」という不安を抱いた経験がある方も多いはずです。実は、自己判断で市販薬を使い続けた結果、重大な病気の発見が遅れてしまうケースも少なくありません。

 

市販薬と処方薬の違いとは?

市販薬は、一般用医薬品として販売されており、医師の診察を受けなくても購入できる薬です。厚生労働省の基準に基づいて、安全性が高く設定されており、用法や用量を守れば比較的安心して使用できます。現在、日本国内で販売されている市販薬の種類はおよそ15,000品目以上とされており、解熱鎮痛剤や風邪薬、胃腸薬、アレルギー用の抗ヒスタミン剤などが含まれます。

一方、処方薬は医師の診察を経て処方される薬で、より高い効果や特定の病気に対する作用が期待できる反面、副作用のリスクもあるため、専門的な判断と管理が求められます。たとえば、同じ解熱剤であっても、市販薬のイブプロフェン配合量は1回100〜200mg程度に対し、処方薬では400mgが使用されることもあり、その差は明確です。

 

自己判断によるリスクと併用の注意点

市販薬を使用する際にもっとも注意すべきなのは、自己判断による誤った服用です。複数の薬を併用することで、同じ成分を重複して摂取してしまう「多重投与」のリスクがあります。たとえば、風邪薬と頭痛薬を併用した場合、どちらにもアセトアミノフェンが含まれていると、1日の上限である1500mgを超えてしまう可能性があるのです。
また、持病を抱えている人にとっては、特定の成分が病状を悪化させることもあります。高血圧の人が血管を収縮させる成分「プソイドエフェドリン」入りの風邪薬を服用した場合、血圧がさらに上昇するリスクがあり、注意が必要です。

 

市販薬では対応できない症状とは?

多くの人が「市販薬で様子を見る」ことを選びがちですが、それが危険な判断となることもあります。以下のような症状が出た場合には、市販薬での対応ではなく、速やかに病院を受診することが推奨されます。

まず、38.5度以上の発熱が3日以上続く場合は、インフルエンザや細菌感染症など、重大な疾患が潜んでいる可能性があります。さらに、呼吸が苦しい、胸が締めつけられる、咳が止まらないといった症状がある場合には、肺炎や心臓疾患の可能性も否定できません。
また、激しい腹痛や下痢、血便、繰り返す嘔吐などの消化器症状は、単なる胃腸炎ではなく、腸閉塞や胆石、腸炎といった内臓の病気が原因であることがあります。全身に湿疹が広がったり、意識が朦朧とする、けいれんが起きるといった神経症状がある場合も、救急対応が必要です。

とくに高齢者、妊娠中の方、小児などは体力や免疫力が弱く、症状が急激に悪化する可能性があるため、早めの受診が重要です。

 

薬剤師との対話がセルフケアの鍵

市販薬の選択に迷ったときは、薬剤師に相談することが何よりも大切です。薬剤師は、症状の緊急度や薬の選び方、持病との相性について専門的なアドバイスをしてくれます。たとえば、「咳が長引いている」と相談すれば、市販薬をすすめるのではなく、肺炎などの疑いがあることを指摘し、病院受診をすすめてくれることもあります。
薬局によっては、健康相談の窓口やオンライン服薬指導サービスを設けているところもあり、特に高齢者や外出が難しい人にとっては頼もしい存在です。薬剤師の知識を上手に活用することが、誤ったセルフメディケーションを防ぐ第一歩になります。

 

まとめ:自分の身体に耳を傾ける習慣を

市販薬は、私たちの生活において頼もしい存在であり、軽い不調を自分でケアするための心強い味方です。しかしその便利さに甘えてしまうと、見過ごしてはいけない身体のサインを見逃すリスクもあります。特に症状が長引いたり、いつもと違う感覚があるときは、自分で判断するのではなく、医師や薬剤師といった専門家に相談することが大切です。
「これくらいなら大丈夫」と思っていた症状の裏に、大きな病気が隠れていることもあります。健康を守る最善の方法は、自分の体と丁寧に向き合い、必要なときに適切な医療を選ぶことです。市販薬と処方薬、それぞれの役割を理解し、賢く使い分けることで、あなた自身と大切な人の健康をより確かなものにしていきましょう。

カテゴリ
健康・病気・怪我

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