納得できる治療のために:セカンドオピニオンを円滑に進める医師への伝え方

患者の権利として広がるセカンドオピニオンの本質的な意義

治療方針を告げられたとき、「この方法で本当にいいのだろうか」と迷う気持ちは、ごく自然なものです。医療が進歩した現在、多くの病気で複数の治療法が提示されるようになりました。たとえば早期の乳がんでは、乳房温存療法と全摘手術の長期生存率に大きな差がないとする国内外の臨床研究が報告されています。このように医学的に複数の選択肢が成り立つ場面では、価値観や生活背景によって最適解が変わるといえるでしょう。

厚生労働省は「インフォームド・コンセント(十分な説明と同意)」の重要性を示しており、患者が理解し納得して治療を選ぶことを基本原則としています。がん診療連携拠点病院は全国に400施設以上あり、その多くがセカンドオピニオン外来を設置しています。制度として広く整備されている事実からも、セカンドオピニオンは例外的な行為ではないと考えられます。

主治医に申し訳なさを感じる方もいますが、医師にとっても患者が納得して治療を受けることは重要です。治療への理解度が高い患者ほど継続率が高いという報告もあり、納得感は治療経過にも影響すると見込まれます。確認のために別の意見を聞くことは、対立ではなく理解を深める手段といえるのではないでしょうか。

 

主治医への伝え方と具体的な進め方

切り出すときのポイントは、「不満」ではなく「理解を深めたい」という姿勢です。たとえば次のように伝える方法があります。

「家族とも相談し、自分の病気についてもう少し学びたいと考えています」

「より納得して治療を続けるため、他の専門医の意見も参考にしたいと思います」

「先生の方針を理解したうえで、確認の意味で別の見解も聞いてみたいです」

このように伝えることで、主治医との関係が悪化する可能性は低いと考えられます。実際、多くの医療機関では紹介状(診療情報提供書)の作成が通常業務として行われています。紹介状には病歴、治療経過、検査結果が整理され、CTやMRIなどの画像データも提供されるのが一般的です。受付や地域連携室に相談すると、手続きの流れを具体的に教えてもらえるでしょう。
紹介状作成には数日から1週間程度かかることが多いようです。余裕をもって依頼すると安心です。

 

費用と準備のポイント

セカンドオピニオン外来は保険適用外となるケースが多く、費用は30分で1万~3万円前後が一般的な目安とされています。医療機関ごとに金額や時間枠は異なるため、事前に確認することが大切です。
限られた時間を有効に使うため、準備が重要になります。具体的には次のような方法があります。

・今いちばん不安な点を書き出す

・治療の目的、副作用、生活への影響などを整理する

・自分が重視したいこと(仕事継続、生活の質、治療期間など)を明確にする

医療は確率に基づく判断が多く、絶対的な正解が存在しない場合もあります。提案が異なるときは、「なぜその方法を選ぶのか」「どの程度の効果が見込まれるのか」「リスクはどのくらいか」と具体的に質問すると理解が深まると考えられます。

 

相談後の伝え方と納得感を大切にする姿勢

セカンドオピニオンを受けたら、その内容を主治医に共有することが大切です。「別の先生からはこういう説明を受けました」と率直に伝えて構いません。そこで改めて話し合うことで、治療方針がより明確になることが期待されます。

国内調査では、セカンドオピニオンを受けた患者の多くが「治療への理解が深まった」と回答しています。結論が同じだったとしても、「複数の専門家が同じ見解を示した」という安心感は大きいといえるでしょう。納得して選んだ治療は、心の負担を軽くし、前向きに取り組む力につながるのではないでしょうか。大切なのは、自分が安心できる選択をすることです。医療は医師と患者が協力して進めるものですから、疑問を持つこと自体は自然なことだと思われます。

医療は医師だけが決めるものではなく、患者も意思決定の当事者です。疑問を持ち、確認し、理解を深める行動は当然の権利といえます。セカンドオピニオンは、より良い医療を探す手段であると同時に、自分の人生を主体的に選び取る行為でもあるといえるのではないでしょうか。

カテゴリ
健康・病気・怪我

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