「ミドリムシは地球を救う」人と地球の健康を本気で実現するユーグレナ社の使命【東京都港区】

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株式会社ユーグレナは、微細藻類「ミドリムシ(学名:ユーグレナ)」を活用し、ヘルスケア、アグリテック(農業とテクノロジーを掛け合わせた造語)、バイオ燃料などの領域で社会課題の解決に取り組む企業です。創業の原点は、創業者で代表取締役社長の出雲充さんが学生時代に訪れたバングラデシュで目の当たりにした、子どもたちの栄養課題でした。その課題を解決したいという思いから2005年に創業し、現在は「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をフィロソフィーに、「人と地球を健康にする」ことを目指して事業を展開しています。

取締役代表執行役員 Co-CEOの植村弘子さんは、かつて同社の株主であり、一人の「ミドリムシ」ファンでもありました。ファンとしてユーグレナ社を応援してきた植村さんは、2023年に同社に加わり、ミドリムシを社会実装することに人生を懸けています。そこにあるのは、人と地球の健康を本気で実現したいという強い使命感でした。 

バングラデシュで見た栄養課題から始まったユーグレナ

ユーグレナ社は、出雲充さんが学生時代に訪れたバングラデシュでの経験から始まりました。当時学生だった出雲さんは、社会のために何ができるのかを考えながら国連職員になることを目指していました。バングラデシュを訪れ、住民たちの生活に触れ、食環境を目の当たりにしました。それは、食べ物がまったくないのではなく、炭水化物中心の食生活によって栄養バランスが偏り、健康を保つことが難しい現状でした。 

「どうすれば、この栄養課題を解決できるのか」

その問いの先に出会ったのが、微細藻類ミドリムシでした。ミドリムシそのものは、出雲さんが発見したものではありません。過去にも多くの研究者が、その可能性に注目してきましたが、社会に広く届けるための大量培養の技術が壁となり実装に至ってこなかったのです。

出雲さんはミドリムシの可能性を信じて2005年8月にユーグレナ社を創業しました。そして同年12月、石垣島での食用ユーグレナの大量培養成功によって、社会に届けるための第一歩を踏み出します。

石垣島の生産技術研究所外観:株式会社ユーグレナ提供

現在は、ヘルスケア、アグリテック、バイオ燃料の三つの領域で事業を展開しています。サプリメントや化粧品などのヘルスケア事業を中心に、肥料や飼料、さらに次世代の燃料開発にも取り組んでいます。

ミドリムシのファンだった植村さんが、経営者になるまで

植村さんとユーグレナ社の出会いは、約15年前にさかのぼります。植村さんが参加していたとあるイベントで、出雲さんが表彰されスピーチをしていました。全く見ず知らずの出雲さんが話していた内容に植村さんは、強く心を動かされたといいます。

「気づいたら泣いていたんです。すごく感動して」

その場で植村さんは、ユーグレナ社に強く惹(ひ)かれるようになりました。一時は募集要項を調べ入社しようとしましたが、その時はかなわず、まずは商品を買うユーザーとして、そして一人のファンとして会社を応援するようになりました。

その後、前職を離れるタイミングで、ユーグレナ社への入社の機会が訪れます。2023年、植村さんは入社を果たしました。

「この可能性を世に届けなかったら、ミドリムシに失礼」社会実装する責任
研究中のようす:株式会社ユーグレナ提供

入社して感じたことの一つは、知れば知るほどミドリムシの可能性が無限大であるということ。

ミドリムシには、健康維持、肥料や飼料、バイオ燃料など、さまざまな領域で活用できる可能性があるとわかりました。社内には、その可能性を示す研究成果も蓄積されていました。植村さんは、その一つひとつを知るほどに、自分の責任の重さを感じるようになったといいます。

「もしこれを世の中の届けるべき人にちゃんと届けられなかったとしたら、ミドリムシに本当に失礼だなと思う」

ここには過去の研究者たちが積み重ねてきた知見があります。ユーグレナ社がミドリムシの大量培養に成功したことで、社会に届けられる可能性も生まれました。だからこそ、研究成果をただのリストで終わらせてはいけない。ビジネスとして形にし、本当に必要とする人や社会に届け、変化を起こす。そこまで進めなければ意味がないと植村さんは考えます。

「社会実装できなくて、ただたくさん作ることだけに成功した会社になってしまったら、ミドリムシの責任をそこで終えることになってしまう」

研究成果を、必要とする人や社会に届く形にする。その責任こそが、植村さんの考えるユーグレナ社の使命です。 

原点回帰「ミドリムシの可能性」を信じ抜く組織へ

入社後、植村さんがまず感じたのは、外から見ていたユーグレナ社のイメージとのギャップでした。

「入社前はめちゃくちゃベンチャー精神の高い会社だと思っていたんです。でも、想像していたよりも落ち着いていて、ベンチャー精神がもっと欲しいと感じました」

その違和感は、単に勢いやスピードの問題ではありませんでした。

「入社当初に感じていたのは、『ミドリムシを心から信じきれていない』のではないかということ。信じている人が話すから、そこに魂が宿ると思うんです。それを取り戻さない限り、カルチャーも何もあったものではない」

ミドリムシの可能性を社会に届ける会社であるならば、まず自分たち自身が、その可能性を誰よりも信じていなければならない。植村さんは、そこに組織の原点があると考えました。自分たちが取り組んでいることを、自分たちが一番信じているか。植村さんにとって、それは組織づくり以前の問題でした。

だからこそ、経営陣や社員とともに取り組んだのは、新しい言葉を増やすことではなく、むしろ、言葉を減らすこと。過去につくられた多くのメッセージを整理し、繰り返し語ることを一つに絞る。それが、「人と地球を健康にする」というパーパスと、「ミドリムシの可能性」でした。

同時に、組織のあり方そのものも見直していきました。

「新しい船に乗り換える、という話をしました。今いる人たちは全員、自分でカードを選んだ人なんです」

自分の意思で挑戦することを選んだ人たち。ユーグレナの組織改革は、何を信じ、誰と進むのかを問い直す時間でもありました。その問い直しは、少しずつ事業の結果にも表れています。原点回帰を掲げ、組織と事業のあり方を見直しながら、再び前へ進む土台を整えてきました。

ミドリムシの可能性を信じる人たちとともに、その力を社会に届けること。そこに、組織改革の本当の意味がありました。

父の闘病経験から始まったCKDへの挑戦

2026年1月、ユーグレナはCKD(慢性腎臓病)領域への取り組みを本格的に立ち上げました。この挑戦の背景には、植村さん自身の経験があります。

植村さんのお父さまは慢性腎臓病を患い、これまでの約10年間植村さんのお母さまが食事療法を続けていました。家族として病気と向き合う中で、植村さんは腎臓病の難しさを実感したといいます。腎臓病は症状が出にくく、気づいたときには病状が進行しているケースも少なくありません。その後お父さまは透析治療を受けることになりました。

患者家族として長年向き合ってきた経験と、ユーグレナが持つ研究成果が重なり、植村さんの中で一つの思いが生まれます。

「自分の会社の技術で役に立てるかもしれない」

それがCKD領域への挑戦の始まりでした。

「手遅れをなくしたいんです。病気になってから治療するだけではなく、もっと早い段階で気づき、ケアすることで、健康な時間を延ばしていく、ミドリムシが持つ可能性を生かしながら、患者や家族の選択肢を増やしたい」

現在は、腎臓内科の医師や管理栄養士など医療現場の声を聞きながら、薬ではなく食品として、腎臓病と向き合う人たちにどのような価値を届けられるのかを探っています。

お父さまの闘病経験から生まれたこの挑戦は、「人と地球を健康にする」というパーパスを体現する新たな取り組みとなっています。

「人と地球を健康にする」未来へ

「私たちにとって武器は何ですかと聞かれたら、『ミドリムシ』です」

事業の領域が異なる、人の健康課題や地球環境の課題にミドリムシの力で向き合う。軸は一つだと植村さんは話します。ユーグレナ社は、創業時から変わらない問いを、事業の形を変えながら追い続けています。

さらに植村さんは続けます。

「ミドリムシに恩返しをしたいんです」

植村さんにとってミドリムシは、単なる事業の種ではありません。栄養課題、健康課題、環境課題といった社会の課題を解決する可能性を秘めた存在です。その可能性を信じ、社会実装し、人と地球の健康につなげていく。それがユーグレナ社の使命であり、植村さん自身の使命でもあります。

現在、創業の原点であるバングラデシュでは、子どもたちの栄養課題や農家の所得向上に向き合い、マレーシアではバイオ燃料の社会実装に向けた取り組みが進んでいます。ユーグレナ社の挑戦は、日本国内にとどまらず、人と地球の課題がある場所へと広がり続けています。

出雲さんがバングラデシュで抱いた「社会課題を解決したい」という思いは、20年以上のときを経て、世界へ広がる事業へと育っています。

ミドリムシは、人を健康にし、地球を健康にする。「地球を救う」その未来を本気で実現することが、ユーグレナ社の使命です。

もっとも印象に残った言葉:
「もしこれを世の中の届けるべき人にちゃんと届けられなかったとしたら、ミドリムシに本当に失礼だなと思う」

聞き手:丸山夏名美 書き手:天野崇子
写真:提供写真以外、2026年6月11日丸山夏名美撮影

企業情報

会社名:株式会社 ユーグレナ
取材対象:取締役代表執行役員 Co-CEO 植村弘子さん
設立年月日:2005年8月9日
事業内容:

ユーグレナ等の微細藻類等の研究開発、生産ユーグレナ等の微細藻類等の食品、化粧品の製造、販売ユーグレナ等の微細藻類等のバイオ燃料技術開発、環境関連技術開発バイオテクノロジー関連ビジネスの事業開発、投資等

フィロソフィー:
Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)
パーパス:人と地球を健康にする 

住所:東京都港区芝五丁目29番11号 G-BASE田町 2・3階
HP:
https://www.euglena.jp/

情報提供元:ローカリティ!

天野崇子
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その魅力を共に愛する仲間を募れる住民参加型・双方向の新しいニュースメディアを目指しています。
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