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太陽光の再エネで持続可能な社会の実現へ。震災後に目にした惨状、生まれた使命感<株式会社Looop 森田 卓巳さん>【東京都台東区】

ローカリティ!

東日本大震災が日本に甚大な被害をもたらした2011年の4月4日に新電力大手・株式会社Looop(ループ)は設立されました。電力供給の厳しい状況下で、太陽光パネルを使い、テレビや冷蔵庫を動かすエネルギーを届けることで、人々に希望を与え、感謝されたことがきっかけでした。現在Looopが取り組んでいる「電気を作る再エネ事業」と「電気を届ける電力の小売り事業」の2つの事業、そしてこれから先の未来について、現在、代表取締役社長を務める森田 卓巳(もりた たくみ)さんにお話を聞きました。

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震災から生まれた使命感。株式会社Looop創業の原点

株式会社Looopは、東日本大震災の混乱の中から生まれました。震災当時、中国に滞在していた創業者である中村創一郎(なかむら そういちろう)さんは、ニュースで東北の惨状を目の当たりにしたと言います。
未曾有の報せに接し、悲しみと同時に「自分に何かできることはないか」と強く感じた中村さん。その思いで、自分ができることを考えた時につながりのあった中国の太陽光パネルメーカーとのネットワークを活用し、太陽光パネルを被災地に寄付する活動を始めました。「初めは自治体に連絡を取り、支援物資としてパネルを送ったそうですが、震災直後の混乱の中で、自治体が個別に対応するのは難しそうでした。それで自分たちで持って行くしかないと思い、被災地まで車で太陽光パネルを運搬し、直接設置を行いました」。この活動により、現地できちんと発電して、電気を必要とする家庭に届け、テレビや冷蔵庫が動き、多くの人々から感謝されるという経験をしました。
この経験で再生可能エネルギーの可能性を感じた中村さんは、Looopを設立しました。

 

縁が導いた流れの中でのジョイン

森田さんがLooopに加わったのは、創業まもない頃でした。もともとIT業界にいて、中村元代表と同様に中国で働いていた時に交流のあった中村さんから事業に誘われたことがきっかけでした。
「中村さんが被災地でボランティア活動をし、中国に一時的に戻ってきた時に、Looopの事業プレゼンをされ、『ジョインしてほしい』と誘われました。そのときは全く実感が湧かず、決断はできなかった」
しかし中村さんの猛アピールは止まりません。結果的に2012年1月に入社した森田さん。最後の後押しとなったのは2011年12月、幕張メッセでの展示会でした。
中村さんに誘われ、中国から一時帰国して展示会を見に行くと、驚くことに、そこには自分の名刺がありました。
「肩書きはセールスマネージャーだったと思います。それで来客するお客さまの対応をせざるを得ない状況になりまして、来客対応で名刺交換をして」。さらに中村さんから「その後の対応をしないとまずいんじゃない?と言われ、不思議と私もそうだよなと思ってしまって」。そのまま流れの中で入社したと微笑みます。

 

電気を「作る」再エネ事業の全貌

Looopの事業は主に「電気を作る再エネ事業」と「電気を届ける電力の小売り事業」があります。
「電気を作る再エネ事業」を行う背景には、創業翌年2012年7月から再エネの固定価格買取制度、通称FIT法が施行されたことにあります。前年の原発事故により原子力発電所が相次いで停止し、太陽光を中心とした再エネへの期待がふくらんでいた当時。事業用太陽光の買い取り価格は1㌔ワット時あたり40円と、国際的にも高く、国は再エネの集中的な導入の拡大に向け、法律で「(事業者の)利潤に配慮する」と定めました。
中村元代表は、時流に乗ったのです。

中標津太陽光発電所

「電気を作る再エネ事業」は、三つの事業に分られ、それぞれEPC事業、O&M事業、IPP事業と呼ばれています。主に発電所を作る時の設計や建設の「EPC事業」、発電所を作ったあとの保守・メンテナンスを「O&M事業」と呼びます。Looopではそれらをワンストップで対応することができ、太陽光発電所を継続的に電源として安定運用することができます。
「最初はEPC事業とO&M事業は主に発電所を持ちたいお客さまと、そこに投資したいお客さまに向けてサービスを提供していた」と森田さんは話します。その中でノウハウが蓄積され、資金的な余力も出てきたことで、「自社で発電所を保有して運営していくビジネスも始めた」と言い、これがIPP(電源開発)事業にあたります。

 

電気を使う人に変動する最適価格で「届ける」

「電気を届ける電力の小売り事業」では、約34万世帯(2025年1月時点)が契約している「Looopでんき」というサービスを展開しています。
「スマートタイムONE」という市場価格連動型のプランで電気をお客さまや場所に届ける仕組みです。市場価格は30分単位で単価が変動し、それに合わせた料金体系でサービスを提供しています。
「実際に電気は在庫できない商品で、細かい時間単位で原価価格が変動します。お客さまに提供するときも同じように、その原価の仕組みを適用しているところが市場価格連動型の特徴です」。これにより安い時間帯に電力を使えば、電気料金は安くなるそう。同サービスが提供している「でんき予報」を確認すれば、30分ごとの電気料金が示されており、時間ごとの料金比較ができます。
「工夫をすればそれだけメリットが得られる。これこそが最大の特徴である」と森田さんは強調します。

 

生活に溶け込む再生エネルギー

私たち生活者が再エネを使っていくことで、未来の社会はどのように変わっていくのでしょう。
「空飛ぶクルマや、ロボットとの会話、宇宙旅行など人間が思い描く未来には全てエネルギーが必要です。そこで私たちは、エネルギーを自由に使え、その恩恵で社会がイノベーションを続けられるエネルギーフリーな社会を目指しています」と森田さんは語尾を強めます。
さらに、「安く使っていたら、再エネだった。社会貢献をちょっと意識して使っていたら実は再エネだったとか。こういう関係式を成り立たせていくことが重要」とも。再エネを日常に溶け込ませていくことで、人や環境にもやさしい社会を目指しています。

 

エネルギーフリーの社会と創造する未来への循環

経済産業大臣直属の組織である電力・ガス取引監視等委員会の報告によると、「4世帯に1世帯が新電力を契約している(※1)」とされています。森田さんは「エネルギーを不自由なく使えて、そこでちゃんと価値創造につなげて、イノベーションを起こし、社会に還元する。このような持続可能社会をLooopで目指したい」と話します。
(※1)参照:
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/078_03_00.pdf

情報提供元:ローカリティ!

藤木彩乃
ローカリティ!は、地元に住む人々が、自分が大好きな地元の人やモノや出来事を、自分で世界に発信し、
その魅力を共に愛する仲間を募れる住民参加型・双方向の新しいニュースメディアを目指しています。
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