海外旅行に出かける際、スムーズに現地のインターネットを利用するためには、事前の準備が重要です。今回は、携帯電話の利用、eSIMの取得手続き、そして現地Wi-Fiの活用方法について実際の手続き方法をご紹介します。この記事を参考に、快適で安心な海外旅行を楽しんでください。

1. 海外旅行前に準備すべき携帯電話の設定とローミング

まず、海外旅行の際に日本の携帯電話をそのまま使うには、ローミング設定が必要です。ローミングとは、日本の携帯キャリアと現地の通信キャリアが提携し、日本の契約プランをそのまま現地で利用できる仕組みです。しかし、ローミングは高額な費用がかかることが多く、特にデータ通信を頻繁に行う場合は注意が必要です。

手続き方法

1. キャリアのローミングプランの確認
   まず、自分のキャリア（NTTドコモ、au、ソフトバンクなど）の海外ローミングプランを確認します。多くのキャリアは「海外定額プラン」や「海外パケホーダイ」といったサービスを提供しており、渡航先の国や地域に応じて利用できるデータ量や料金が異なります。

2. ローミング設定の有効化
   渡航前に、携帯電話の設定から「ローミング」を有効にします。iPhoneの場合は「設定」→「モバイル通信」→「モバイルデータ通信オプション」→「データローミング」をONにします。Android端末も同様に、モバイルデータの設定からローミングオプションを確認してください。

3. 必要に応じて追加プランを契約
   長期滞在や大量のデータ通信が見込まれる場合は、事前に追加のローミングプランを契約しておくと安心です。例えば、NTTドコモの「パケットパック海外オプション」では、定額で大容量のデータ通信が可能です。

ローミングの料金例

1. NTTドコモ：「パケットパック海外オプション」

   • 980円/24時間（500MBまで）
   • 1,980円/24時間（無制限）
     ドコモの「海外1dayパケ」では、24時間ごとに500MBまたは無制限のデータ通信ができ、24時間の利用時間を区切って計画的に利用できます。

2. au：「世界データ定額」

   • 24時間980円（データ量無制限）
     auの「世界データ定額」も同様に、24時間ごとの定額で、現地のパートナー通信ネットワークを無制限に利用できます。

3. ソフトバンク：「グローバルデータ」

   • 1,980円/24時間（無制限）
     ソフトバンクでは、滞在する国や地域に応じて無制限で利用できるローミングプランを提供しています。現地で高額なデータ通信費を避けつつ、安心してインターネットを使いたい場合に有効です。

メリット: 現地のSIMを購入する手間がない、使い慣れたキャリアで対応可能
デメリット: 一部の国では高額になりがち

2. eSIMを利用したスマートな通信方法

eSIM（イーシム）は、物理的なSIMカードの代わりに、電子的にSIMカード情報をダウンロードして通信を行う技術です。特に、複数国を訪れる旅行者や短期間での滞在者にとっては、非常に便利な選択肢です。eSIMを使うことで、現地の通信プランを利用しながらも、SIMカードを入れ替える手間を省けます。

eSIMの取得手順

1. 対応端末の確認
   まず、eSIMに対応している端末であることを確認します。iPhoneならXS以降のモデル、Androidなら一部のGoogle PixelやSamsung Galaxyシリーズが対応しています。

2. eSIM対応のプロバイダを選ぶ
   海外旅行者向けのeSIMプロバイダは数多くあります。たとえば、「Airalo」や「Ubigi」、「Holafly」などが有名です。これらのサイトやアプリから、渡航先の国に対応したeSIMプランを購入します。購入する際は、データ通信量や利用可能な期間をしっかり確認しましょう。

3. QRコードでeSIMをアクティベート
   プラン購入後、メールで送られてくるQRコードを利用して、スマートフォンでeSIMをアクティベートします。iPhoneなら「設定」→「モバイル通信」→「モバイル通信プランを追加」を選び、QRコードをスキャンして設定完了です。Androidでも同様に、設定画面からQRコードを読み取って設定を行います。

4. eSIMと従来のSIMカードを併用
   eSIMは物理的なSIMカードと併用が可能です。つまり、日本の電話番号を保持しつつ、現地のeSIMでデータ通信を行うことができます。これは、仕事や連絡のために日本の番号を維持しつつ、海外でのデータ通信を使いたいビジネスパーソンや長期旅行者にとって非常に有効です。

eSIMの料金例

1. Airalo（グローバルに対応するeSIMプロバイダー）

   • アジアパシフィック7日間プラン：3GBで約1,000円
   • ヨーロッパ30日間プラン：5GBで約2,000円
     Airaloは世界中で利用可能なeSIMプランを提供しており、国別に柔軟に選べるため、滞在期間に合わせたプランを選択可能です。

2. Ubigi（ヨーロッパに強いeSIMプロバイダー）

   • アメリカ10日間プラン：10GBで約3,000円
   • ヨーロッパ30日間プラン：10GBで約3,500円
     Ubigiは特にヨーロッパ旅行者向けのプランが充実しており、滞在日数やデータ使用量に応じた選択が可能です。

3. Holafly（多国間旅行向け）

   • 世界対応プラン30日間：無制限プランで約5,500円
     Holaflyは世界中の複数の国をまたぐ旅に最適で、無制限データプランを提供しているため、長期旅行にも適しています。

メリット: 安価で高いデータ量、現地SIMカードの購入不要
デメリット: 対応端末が限られる、物理SIMの入れ替え作業が必要な場合もある

3. 現地Wi-Fiの確保方法と注意点

現地のWi-Fiもまた、海外旅行中のインターネット接続をサポートする手段です。以下の手段でWi-Fiを確保することが可能です。

1. 空港やカフェのフリーWi-Fi

多くの空港やカフェでは、無料のWi-Fiが提供されています。空港に着いたら、まずはフリーWi-Fiに接続し、現地のSIMカードやeSIMの準備が整うまで利用すると便利です。しかし、フリーWi-Fiはセキュリティ面で脆弱であるため、SNSやメールアカウントにログインする際には注意が必要です。

2. ホテルでのWi-Fi利用

宿泊施設の多くは無料Wi-Fiを提供しており、特に都市部のホテルでは高速インターネットが期待できます。ビジネス目的の旅行者や動画をストリーミングしたい場合は、ホテルのWi-Fiの速度や安定性を事前に確認しておくと良いでしょう。
キャプション: ホテルのロビーで無料Wi-Fiを使用している旅行者のイメージ。

3. ポケットWi-Fiをレンタルする

より安定した通信を確保したい場合は、ポケットWi-Fiをレンタルするのも良い選択です。これは、空港で簡単に借りられ、渡航先でも広範囲で利用可能です。特に一人旅で公共Wi-Fiに不安がある場合や、複数人での旅行時にデータ通信を分け合う際に非常に便利です。

ポケットWi-Fiの料金例

1. グローバルWiFi（国内の有名Wi-Fiレンタルサービス）

   • アジアプラン：1日あたり約500円（500MBまで）
   • アメリカプラン：1日あたり約800円（1GBまで）
     グローバルWiFiは、空港で受け取りや返却が簡単にできる日本発のサービスです。1日あたり500円〜1,000円程度のコストで、安定したデータ通信が確保できます。

2. イモトのWiFi（長期利用者向け）

   • アジアプラン：1日あたり680円〜
   • ヨーロッパプラン：1日あたり980円〜
     「イモトのWiFi」は、30日以上の長期旅行向けプランもあり、長期間にわたって快適なインターネット接続を維持できるため、ビジネス用途にも便利です。

4. まとめ

海外旅行では、携帯電話の利用、eSIMの導入、Wi-Fiの活用が旅をより快適にします。それぞれの通信手段にはメリットと注意点があり、自分の旅行スタイルに最も適した方法を選ぶことが重要です。eSIMを使えば、複数国を回る旅行や短期滞在でも効率的に通信を行える一方、現地のWi-FiやポケットWi-Fiを併用すれば、さらにコストを抑えることができます。

旅行前にしっかり準備を行い、現地でのインターネット接続に困らないようにしましょう。快適な通信環境を整えて、ストレスのない旅行を楽しんでください。