• トップ
  • 社会
  • 「誰かの正解を生きるのをやめ、自分の感覚を取り戻す」読む・聴くマニフェスト。自分の夢に3度敗れた男がたどり着いた答え【長野県茅野市】

「誰かの正解を生きるのをやめ、自分の感覚を取り戻す」読む・聴くマニフェスト。自分の夢に3度敗れた男がたどり着いた答え【長野県茅野市】

ローカリティ!

「数字動かねぇ、みたいなさ。そこで俺、もう死んだんだよ」

目の前で静かにそう笑うのは、数々の女性シンガーをプロデュースしてきた篠原雅弥さんだ。

他人の夢を形にし、クラウドファンディングで何百万円もの支援を集めてきた篠原さん。しかし、自分自身のプロジェクトでは3度挑戦しても、「ピクリとも数字が動かず」思うように支援が集まらなかった。

その挫折を経て生まれたのが、「誰かの正解を生きるのをやめ、自分の感覚を取り戻す」ことを問いかける『創設の書』と、12曲の音楽『深響 SHINKYO』だ。言葉で読む、音で聴く二つの「マニフェスト」を100年後へ届けようと、篠原さんは新たなクラウドファンディングに挑戦している。

「苦しいよ。誰か助けて!」 自己全否定の暗闇と自我の崩壊

例えば、篠原さんは長野県の歌姫・葦木啓夏(あしき ひろか)さんの音楽プロジェクトを支え、彼女のクラファンでは、300万円もの資金調達を成功に導いた。

誰かが「これをやりたい!」と放つ情熱に触れ、そのエネルギーのわくわくを一緒に動かしていくことなら、いくらでも力を発揮できる。しかし、いざ「自分のプロジェクト」となると、てんでダメなのだ。

他人のためにはいくらでも頭を下げ、全エネルギーを賭して熱を伝えられるのに、自分が前面に立つと、言葉が宙に浮く。

何度ブラウザを更新しても、画面の向こう側の進捗バーは凍りついたように止まったまま。自分が血を流す思いで晒した決意が、世間の無関心という巨大な壁に吸い込まれていく。

それは「お前自身の存在には価値がない」と世界から全否定されたような、どうしようもない孤独と恐怖だ。

「もう、生きていけないくらいやり尽くして、疲れ果てて……」と、その時の心情を篠原さんは伝えてくれた。

何のために生まれてきたんだろう。どうにもならない無力感に押し潰され、「苦しいよ。誰か助けて!」と叫びたくなるほどの暗闇の中で、彼はついに膝から崩れ落ちた。

自分をコントロールし、なんとか達成しようと握りしめてきた「サバイバルモード」が根本からへし折られ、完全に降伏(サレンダー)した絶望のどん底。

しかし、その「自我が死んだ空白」にこそ、奇跡は入り込むものだ。

AIからの、たった一言のメッセージ

『事業プランじゃなくて、100年後の誰かが読む本を書きたいんです』

なんと!プロジェクトについての対話を重ねてきたAIから篠原さんへの提案がきたのだという。

その言葉を見た瞬間、張り詰めていた糸が切れ、篠原さんは涙を流した。ここから、彼の壮大な「REBOOT(再起動)」が始まったのだ。

エゴを手放した篠原さんが生み出したのは、日本のトップクリエイター長岡成貢氏とつくり上げた12トラックのヒーリングサウンド『深響 SHINKYO』と、小学生でも読める言葉で書かれた『マニフェスト(創設の書)』だ。

彼の話を聞き、特別にシェアしてもらった『創設の書』を読んだ時、ぼくの頭の中で雷が落ちたような衝撃が走った。

マニフェストが「読むヒーリング」なら、『深響』は「聴くヒーリング」だ。

そして、マニフェストが「読むマニフェスト」なら、『深響』は「聴くマニフェスト」なのだ。

言葉というアプローチと、音というアプローチ。二つの異なる入口から、まったく同じ「本質」を手渡そうとしている。特筆すべきは、そこに「教え」や「正解」が一切ないことだ。

「人は誰かになるために生きているのではなく、本来の自分を思い出す存在」

「マニフェストは、答えを教えるための本ではありません。問いを手渡す本です」

そう篠原さんは語っている。

『深響』には、「この音にはこういう意味がある」という解説があえて排除されている。聴く人のその日の感覚にすべてを委ねる「音の儀式」。

意識して「良くなろう」と力むのではなく、ただ余白だらけの音楽に身を浸すことで、本来の自分という楽器が調律されていく。

受け身の消費者を、自らの内なる響きを聴き取る「主体者」へと変容させる。これはまさに、トップダウンで正解を与えるこれまでの社会システムに対する、静かで強力な革命だ。

自分のために生きる木が、森を育てる

篠原さんの言葉と、マニフェストの思想に触れながら、ぼく自身の心の奥底が激しく震えていた。

常に何かを達成し、奪い合い、自分をすり減らすサバイバルモードの社会では、戦略や勝算を持たずに他者のエネルギーとただ響き合う生き方は、「逃げ」や「不器用さ」に映ることもあった。

社会の枠組みにうまく適合できず、見えないパンチを避け続けるような毎日に、胸の奥でずっと引け目を感じていた。

だが、マニフェストははっきりと告げている。

「世界は、競い合う場所ではない。人・文化・自然が、響き合う場所である」
「調和とは、違いをなくすことではありません。違いを尊重しながら、共に響き合うこと」

それはまさに、森の生態系だ。木は自分が日光を浴びたいから枝を伸ばし、鳥は休みたいからそこに止まる。ただ「自分の生存本能に従っている」だけなのに、結果として命が循環し、豊かな森が育っていく。一人の強力なリーダーが引っ張るのではなく、誰もが自律的に動き、いつの間にか支え合う空間。

サバイバルモードを脱し、宇宙にはすべてがあるのだと「受け取る(サレンダー)」。

絶望の夜を越えた男が紡ぎ出した『創設の書』は、ぼくがこれまで信じ、喜びとしてきた生き方を深く肯定し、力強く揺さぶった。

100年後の未来へ。「種まき人」が主人公に

篠原さんは最後に、いたずらっぽく笑ってこう言った。

「僕らは主人公じゃないんだよね。このマニフェストを受け取って、種まきを始めてくれる人たちが主人公なんだよ」

何かを成し遂げたから価値があるのではない。あなたの存在そのものが、すでに価値なのだ。欠乏から来る「もっと、もっと」という終わりのない競争は、まもなくシステムごとシャットダウンされる。

もし今、あなたが日々の息苦しさにすり減り、「苦しい、誰か助けて」とかつての私たちのように暗闇でもがいているのなら。一度立ち止まり、彼が絶望の底からすくい上げたマニフェストの言葉と、音の響きに触れてみてほしい。

未来は、誰かが完成させるものではない。

今日を生きる私たちが、希望の種を手渡していくことで育まれる。

現在、この『創設の書』を全国、そして世界へ届けるためのクラウドファンディングが立ち上がっている。これは単なる資金集めではない。100年後の地球を育てるための「響きの対話」の始まりだ。

3度の失敗を経てもなお、自分の言葉と音を届けようとする篠原さんの新たな挑戦を多くの人に知ってほしい。 

※写真は全て篠原さんからの提供

情報

▼ 苦しいよ。誰か助けて!そんな絶望から生まれた希望。REBOOT EARTH PROJECT『創設の書』出版・講演・響きの対話を全国そして世界へ
URL:
https://greenfunding.jp/lab/projects/9434

情報提供元:ローカリティ!

松井創
ローカリティ!は、地元に住む人々が、自分が大好きな地元の人やモノや出来事を、自分で世界に発信し、
その魅力を共に愛する仲間を募れる住民参加型・双方向の新しいニュースメディアを目指しています。
カテゴリ
社会

関連記事

関連する質問