閉店時に流れる曲は『蛍の光』ではない? 調査でたどり着いたのは、あの作曲家・古関裕而だった【福島県福島市】

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スーパーやデパートの閉店間際に流れてくる曲といえば、『蛍の光』と答える人は多いでしょう。

しかし、よく耳にするあのメロディー、実は『蛍の光』ではないかもしれません。

どういうことなのでしょうか。

気になって調べてみると、その先に現れたのは、なんと高校野球でおなじみの『栄冠は君に輝く』を作曲し、NHK連続テレビ小説『エール』の主人公のモデルにもなった作曲家・古関裕而(こせき・ゆうじ)でした。

今回は、閉店を知らせるあのメロディーの意外な正体に迫ります。

閉店時に流れるあの曲は「4分の3拍子」

まずは、あの閉店時に流れる『蛍の光』のような曲を聞いてみます。すると、明らかに蛍の光とは異なる点がありました。

それが、音楽のリズムです。

蛍の光は「4分の4拍子」ですが、『蛍の光』のような閉店BGMは「4分の3拍子」なのです!実際に聞き比べればわかりますが、確かに別の曲に聞こえます。

『蛍の光』の原曲

『蛍の光』のメロディーの原曲は、スコットランドに伝わる『Auld Lang Syne(オールド・ラング・サイン)』です。

日本では明治期、学校教育に西洋音楽を導入する過程で日本語の歌詞が付けられ、1881(明治14)年刊行の『小学唱歌集 初編』に収録されました(参照:藝大アートプラザ「東京音楽学校初代校長・伊澤修二とは? 日本近代教育の礎を築いた男の生涯をたどる」)。

では、3拍子のあの曲は…?

さて本題。閉店時によく聞く、『蛍の光』のようなあの3拍子の曲はなんという曲なのでしょう。

実は、この3拍子の曲こそが、古関裕而が編曲した曲でした。

どういうことなのか、実際に古関裕而記念館に取材をしてみました。

こちらが古関裕而記念館です。JRA福島競馬場の近くにあります。

さっそく館長の佐藤光憲(さとう・みつのり)さんにこの件に関して聞いてみると、3拍子の曲は確かに古関裕而が関わった『別れのワルツ』という曲とのことでした。これを閉店時のBGMに採用している店舗は多いと思われるとのこと。

しかし、『蛍の光』を使うか『別れのワルツ』を使うかは店舗によるため、実際はどちらが多く使われているのかはわからないとのことでした。

つまり、閉店時に流れる曲が必ず『別れのワルツ』というわけではありません。店舗によっては、本当に『蛍の光』を流している場合もあるそうです。

ただ、古関裕而記念館の公式サイトでも、『別れのワルツ』は現在もスーパーや百貨店の閉店を知らせる音楽として親しまれていると紹介されています(参照:古関裕而記念館「今月の歌<296> 別れのワルツ(スコットランド民謡)」)。

今後、閉店時に流れるあの曲を聞いた時は、『蛍の光』なのか『別れのワルツ』なのか、聞き分けてみると面白いと思います。

別れのワルツができるまで

『オールド・ラング・サイン』は、1949(昭和24)年に日本で公開されたアメリカ映画『哀愁』で、ワルツ調にアレンジされて劇中歌として使われました。

そのアレンジを参考に、古関が編曲し、日本コロムビアから発売されたのが、この3拍子の『別れのワルツ』です(参照:福島市役所『古関裕而氏の代表曲』)。

ちなみに『別れのワルツ』のレコードに古関裕而の名前はなく、そこには古関裕而の名前をもじった、編曲:ユージン・コスマン、演奏:ユージン・コスマン管弦楽団と表記されていました。しかもレコード規格が洋楽規格だったため、当時の人々は外国録音のレコードと信じて疑わなかったといいます。

ということで、閉店時に聞く『蛍の光』のような曲のうち、3拍子で流れるものは、古関が編曲した『別れのワルツ』だということがわかりました。

卒業式の『蛍の光』と、閉店時の『別れのワルツ』。まったく違う場面で耳にする2曲ですが、実は同じメロディーを源流に持っていたのです。

別れのワルツがなぜ閉店時の曲として定着したのかについては定かではありませんが、あの哀愁漂う「別れ」の雰囲気の曲調が、閉店時に合っているからなのかもしれません。

しばし記念館を見学

せっかくなので、古関裕而記念館を取材してみました。

上の写真は記念館の入口の様子です。入館料は一般300円、小中学生100円となっています。団体割引・障がい者免除もあります。

取材時、1階では企画展が催されており、古関による風景画が展示されていました。古関は絵もたしなんでおり、多くの風景画を残しています。

※風景画などの企画展は2026年9月23日までの展示

2階は常設展です。古関ゆかりの品々の展示や、作曲する際に使っていた書斎を再現したスペースがあります。

この書斎を見てみると、座るところが3か所あることに気づきました。これについて同館の丹羽雅子(にわ・まさこ)さんに聞いてみると、「古関は同時に3曲を作ることもあったそうで、作曲中の曲ごとに席を用意したそうです」とのこと。3曲同時に作ることができるなんて、その才能に驚くばかりです。

記念館では、定期的に音楽コンサートも開かれています。丹羽さんによると、「詳しくはホームページなどでご確認ください」とのことでした。

古関メロディに興味がある方は、ぜひ訪れてみると良いでしょう。

※写真は全て2026年8月14日に筆者撮影

情報

福島市 古関裕而記念館
住所:〒960-8117 福島市入江町1-1
TEL:024-531-3012
HP:
https://www.kosekiyuji-kinenkan.jp/
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
閉館日:年末年始(12/29~1/3)
※臨時休業もあり。詳しくはHP確認

情報提供元:ローカリティ!

安齋慎平
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カテゴリ
[地域情報] 旅行・レジャー

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