睡眠の質が悪いと老けやすい?アンチエイジングの視点から考える眠り

7時間寝ても疲れる人がいるのはなぜ?

「毎日7時間は寝ているのに、朝から疲れている」という人もいるでしょう。睡眠を考えるとき、時間だけを見てしまうと本当の状態をつかみにくくなります。米国心臓協会では、成人の睡眠時間として1日7〜9時間を目安としていますが、同じ7時間でも、夜中に何度も目が覚める人と朝までほぼ連続して眠れる人では休息の状態が異なります。睡眠には、体や脳を休ませながら、組織の修復や記憶の整理などを行う役割があります。そのため、ベッドにいた時間よりも、必要な睡眠を安定して取れているかを見ることが大切だと考えられます。

判断するときは、睡眠時間に加えて、夜中に何度起きるか、起床時間が日によって大きく変わっていないか、朝に「休めた」と感じられるかまで確認すると分かりやすくなります。平日は6時間、休日は9〜10時間という生活も注意したいところです。休日に長く眠れば眠気は軽くなるかもしれませんが、平日の睡眠不足による影響をすべて帳消しにできるわけではありません。さらに休日だけ起床時刻が数時間遅れる生活を繰り返すと、体内時計もずれやすくなります。アンチエイジングを考えるなら、「何時間寝たか」だけではなく、睡眠の規則性や連続性まで見る必要があるでしょう。

 

睡眠不足が続くと肌の修復にも影響する

睡眠不足の影響が比較的分かりやすく現れるのが肌です。2015年に「Clinical and Experimental Dermatology」で報告された研究では、健康な女性60人を対象に睡眠状態と肌の状態が調べられました。睡眠時間が5時間以下で睡眠状態が良くない女性と、7〜9時間眠る女性を比較すると、良好な睡眠を取っているグループのほうが皮膚老化の評価が低いという結果が示されています。さらに皮膚に刺激を与えた後の回復を調べたところ、72時間後の皮膚バリアの回復度は、睡眠状態が良好なグループで30%高かったと報告されています。

これは単に「寝不足だとクマができる」という話ではありません。皮膚には、水分を保ちながら乾燥や刺激から体を守るバリア機能があります。睡眠が不足すると、ストレス反応や炎症に関係する体内の働きが変化し、肌がダメージから回復する力にも影響する可能性があります。もちろん、この研究だけで睡眠不足がシワやたるみを直接増やすと断定することはできません。対象者も60人と限定されています。それでも、睡眠状態と肌の回復力との間に関連が示されていることから、アンチエイジングを化粧品や美容施術だけで考えない視点は持っておきたいといえます。

 

睡眠不足が老化につながる仕組みは一つではない

睡眠不足が続いたとき、体ではいくつもの変化が起こります。研究では、睡眠が足りない状態によってストレスホルモンのコルチゾールが増えたり、食欲を調節するホルモンや糖代謝に変化が生じたりすることが報告されています。炎症に関係する物質の増加も指摘されています。簡単に言えば、十分に眠れない日が続くと、夜の回復時間が短くなるだけでなく、体がストレスを受けやすい状態が続く可能性があります。その積み重ねが、肌の修復、血糖管理、血管の健康などさまざまな部分に影響すると考えられます。

米国心臓協会も睡眠を心血管の健康を支える生活習慣の一つとして位置づけており、不十分な睡眠は高血圧、高血糖、肥満などとの関連が指摘されています。脳についても、睡眠は集中力や判断力、記憶などに関わっています。ここで気をつけたいのは、「1日寝不足になったら一気に老化する」という話ではないことです。問題になりやすいのは、睡眠不足や不規則な生活が長く続くことです。アンチエイジングを「若く見せること」だけではなく、年齢を重ねても肌、血管、代謝、脳の働きを健やかに保つことと考えれば、睡眠を整える意味も見えやすくなるのではないでしょうか。

 

睡眠を整えるなら夜より朝から見直したい

睡眠改善というと、夜のスマートフォンをやめることから始めようとする人が多いかもしれません。それも一つの方法ですが、毎日の睡眠リズムを整えるなら、起床時刻にも目を向けたいところです。人の体内時計は光の影響を受けるため、朝起きて光を浴び、夜になるにつれて明るい光を減らす生活は睡眠と覚醒のリズムを整える助けになります。平日と休日で起床時間を大きく変えず、できる範囲で毎日同じリズムを保つことも取り入れやすい方法といえるでしょう。

そのうえで、寝る直前まで強い光を浴び続けない、寝室を暗くする、夕方以降のカフェイン摂取を見直すなど、自分の生活に合った方法を組み合わせていくと続けやすくなります。睡眠は高価な美容アイテムのように翌日すぐ変化を実感できるものではありません。それでも、1日7〜9時間を目安にすると人生のおよそ3分の1を占める時間です。「睡眠時間は足りているか」「途中で何度も目覚めていないか」「朝に回復した感覚があるか」「休日だけ大幅に寝る時間がずれていないか」。こうした点を振り返るだけでも、自分の睡眠の弱点は見つけやすくなります。老化そのものは止められませんが、睡眠不足による余計な負担を減らすことはできます。アンチエイジングを考えるなら、スキンケアを足す前に毎日の眠りを整えることも、長く続けやすい選択肢ではないでしょうか。

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美容・ファッション

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