年齢を感じさせない人の共通点——コストゼロで始められるアンチエイジング習慣

見た目の若さは、遺伝より「毎日の行動」が決めている

「あの人、年齢のわりに全然老けないよね」——そう感じる相手が、身近に一人はいませんか。高いクリームを使っているのか、エステに通っているのか、とつい想像してしまいますが、実はそうした外からのケアより、毎日の小さな行動のほうが、見た目年齢に大きく影響しているといわれています。

デンマークで一卵性双生児を対象に行われた研究では、同じ遺伝子を持つ兄弟・姉妹でも、生活習慣が異なると外見年齢に明らかな差が出ることが確認されました。驚くべきことに、見た目の若さへの遺伝の影響は全体の約25%にすぎず、残りの75%は日々の習慣や環境によるものだとされています。つまり「老けにくい体質かどうか」は、生まれつきより、どう過ごすかのほうがずっと大きな意味を持つといえます。

しかも、若々しさを保っている人の習慣をよく見ると、特別なことはほとんどしていません。お金も手間もかからない、ごく当たり前の行動ばかりです。それを意識してやっているか、なんとなく流してしまっているか——その差が、数年後の見た目に出てくるのかもしれません。

 

「ちゃんと寝ること」が、一番安上がりな美容法

老けない人の習慣として、研究者が口をそろえて挙げるのが睡眠の質です。眠っている間、脳は「グリンパティックシステム」と呼ばれる仕組みを使って、日中に溜まった老廃物を洗い流しています。この働きが活発になるのは深い眠り(ノンレム睡眠)のときで、睡眠が足りないと脳にも肌にも老化に関係する物質が蓄積しやすくなってしまいます。

肌への影響も無視できません。アメリカのケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究によれば、睡眠の質が低い女性は、十分に眠れている女性と比べて肌のバリア機能の回復スピードが30%遅く、見た目年齢の評価も高くなりやすいことがわかっています。国内でも、6時間未満の睡眠を続けると、7〜8時間眠る人に比べて生活習慣病のリスクが1.5〜2倍になるという調査結果が報告されています。

とはいえ、睡眠時間を増やすのが難しいと感じる方も多いでしょう。まず取り組みやすいのは、寝る時間と起きる時間を毎日できるだけ同じにすることです。体内時計のリズムが整うだけで、眠りの深さがぐっと変わってきます。就寝の1〜2時間前にスマートフォンを手放す習慣も、画面から出るブルーライトが睡眠を妨げる性質を持っているため、取り入れると効果を感じやすいでしょう。どれもお金のかからない行動ですが、成長ホルモンの分泌を促すという点では、高価なサプリメントに引けを取らない効果が期待されます。

 

水・呼吸・姿勢——タダでできることが、細胞レベルで差をつける

「水をこまめに飲む」というのは、地味すぎてアンチエイジングとして意識される機会が少ないかもしれません。ただ、体の約60%は水分でできており、たった2%の脱水状態でも肌の乾燥やくすみ、頭の働きの低下が起きやすくなるとされています。体重1kgあたり約30〜35mlが一日の目安で、体重60kgの人なら1,800〜2,100ml程度を食事と飲み物から補うのが理想です。特別な美容ドリンクでなくても、水や緑茶で十分まかなえます。

呼吸については、浅い胸式呼吸が続くとストレスホルモンの一種であるコルチゾールが増加しやすくなります。コルチゾールはコラーゲンを分解する酵素の働きを促してしまうため、慢性的なストレス状態は肌のハリを失わせる一因になります。意識的にゆっくりとした腹式呼吸を1日3〜5分取り入れるだけでも、自律神経のバランスが整い、コルチゾールの値が有意に下がるという報告があります。呼吸は今すぐ、どこでも実践できる習慣です。

姿勢も、見た目年齢を左右する要素として見逃せません。前のめりの姿勢や猫背は、顔や首の皮膚をたるませるだけでなく、呼吸を浅くし、全身の血流も悪化させます。耳・肩・腰が一直線に並ぶ姿勢を意識するだけで、首や肩への余分な負担が減り、顔のむくみやたるみが出にくくなるといわれています。姿勢を正すのにも、お金はかかりません。

 

歩くこと、話すこと——科学が認めた「老けない人」の習慣

運動が老化を遅らせることは、今や医学的にほぼ確立された事実です。特に有酸素運動には、染色体の末端にある「テロメア」を守る働きがあるとされています。テロメアは細胞が分裂するたびに短くなり、その長さが生物学的な年齢の指標として使われています。ブリガム・ヤング大学の研究では、週5日・30〜40分程度のジョギングを続けている人のテロメアは、運動習慣のない人と比べて約9年分長く保たれていたことが報告されました。

ジムに行く時間がないという方にとって、ウォーキングは現実的な選択肢です。2021年にJAMA Internal Medicineに掲載された研究によれば、1日8,000歩を継続することで死亡リスクが約51%低下するという結果が示されています。通勤や買い物のついでに少し歩く距離を増やすだけでも、積み重ねれば大きな差になっていきます。

そして、意外と見落とされがちな習慣が「人と話すこと」です。ハーバード大学が1938年から80年以上にわたって続けてきた研究では、健康や長寿に最も影響するのは収入・運動・食事ではなく、「人間関係の質」だという結果が出ています。孤独な状態が続くと、1日15本タバコを吸うのと同等の健康リスクが生じるとも指摘されており、友人や家族と定期的に言葉を交わすことが、脳と身体の老化を穏やかにするといわれています。

結局のところ、老けない人が特別な秘密を持っているわけではありません。眠り、飲み、動き、話す。そのひとつひとつを、少しだけ丁寧にしているかどうか——それだけの差が、10年後の自分をつくっていくのかもしれません。

カテゴリ
健康・病気・怪我

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