パリ最古の橋が期間限定で巨大な洞窟に! 人気アーティストが仕掛けたアートを抜け、その先のシテ島へ【フランス・パリ】
パリを代表する観光名所の一つ、ポン・ヌフ(Pont Neuf)。
1607年に完成したこの橋は「パリ最古の橋」として知られ、セーヌ川に浮かぶシテ島と両岸を結ぶ交通の要所である。その歴史ある橋が、2026年6月15日から28日までのわずか2週間だけ、巨大な洞窟へと姿を変えた。
制作を手がけたのは、フランスを代表する現代アーティストJR(ジェイアール )。
公開直前にパリを訪れていた筆者は、この二度と見られないかもしれない風景を目にすることができた。
橋を訪れるだけでなく、その周辺を歩きながら、改めてシテ島というエリアそのものの魅力を実感した。
パリ最古の橋が「洞窟」になった理由
作品名は《La Caverne du Pont Neuf(ポン・ヌフの洞窟)》。
JRは1985年にクリストとジャンヌ=クロードが制作した《The Pont Neuf Wrapped》へのオマージュとして、このプロジェクトを発表した。
しかし今回の作品は単に橋を布で包むのではなく、切り出された石の写真を高精度にプリントしたシートで橋を覆い、まるで巨大な洞窟の中に迷い込んだかのような空間を作り出したのである。
その着想の源になったのは、ポン・ヌフを築く石が切り出されたパリ地下の石灰岩採石場だった。
ルーブル美術館やノートルダム大聖堂など、パリを代表する歴史的建築にも同じ石材が使われている。JRは、その「都市を支えてきた地下の存在」を地上に可視化するような作品を生み出した。
歴史ある橋を歩いているはずなのに、まるで地下洞窟を探検しているような不思議な感覚だった。
シテ駅から始まるパリ散策
ポン・ヌフのプロジェクトに感化され、地下空間にも潜り込みたくなって地下鉄4号線のシテ駅(Cité)へ。
シテ駅は、セーヌ川に浮かぶシテ島に設けられた唯一の地下鉄駅である。
4号線がセーヌ川を横断するためのルート変更によって計画され、中央区間の開通とともに1910年に利用が始まった。建設では川の下を通すために当時としては画期的な工法が採用され、現在も深いホームや球形照明が独特の空間をつくり出している。
再び街の象徴となったノートルダム大聖堂
ポン・ヌフから歩いて10分ほど。
シテ島をさらに東へ進むと、ノートルダム大聖堂が姿を現す。
2019年の火災では世界中に衝撃が走ったが、約5年半に及ぶ修復を経て、2024年12月に一般公開と礼拝が再開された。現在では再びパリを代表する景観として、多くの人が足を止めている。
歴史ある建築が現代へ受け継がれていく姿を見ると、この街が「保存」と「創造」を両立してきた理由が少し分かる気がした。
徒歩15分、日本人シェフが営む「Narro」へ
ポン・ヌフから15分ほど歩くと、パンテオン近くの5区にあるレストランNarroに到着する。
2020年にオープンしたこの店では、日本人シェフ 竹田和真(Kazuma Chikuda )氏が、フランス料理の技法を軸に季節の野菜を美しく表現したコースを提供している。派手さではなく、素材の個性を引き出す一皿一皿が印象的で、パリの豊かな農業と日本人ならではの繊細な感性が自然に重なり合っていた。
シテ島から歩いて向かえる距離なので、美術館や歴史散策とあわせて訪れるのもおすすめである。
美しさは野菜に宿る。パリの日本人シェフが描く「Narro」の芸術的一皿【フランス・パリ】
乗り継ぎ時間の合間でも歩ける、パリの原点
シャルル・ド・ゴール空港からRER(高速郊外鉄道)と地下鉄を利用すれば、十分な乗り継ぎ時間がある場合にはシテ島エリアまでアクセスできる。
ポン・ヌフ、ノートルダム大聖堂、セーヌ川沿いの街並み。
そして期間限定のアート作品や食文化まで。パリの魅力は、一つの観光地では語り尽くせない。
歴史、芸術、建築、食。そのすべてが徒歩圏内に凝縮されているシテ島エリアは、短時間滞在者にぜひともおすすめしたいエリアだ。
※Narroの写真は竹田シェフからのご提供。その他の写真は筆者が撮影(2026.05.31)
情報提供元:ローカリティ!
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