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「大容量がお得」とは限らない?値上げ時代に見直す買い物習慣

「大容量がお得」とは限らなくなってきた

スーパーで同じ商品が並んでいたら、少しでも単価が安いほうを選びたくなります。500グラムで500円の商品と、1キログラムで800円の商品。100グラム当たりなら100円と80円なので、大容量のほうがお得に見えます。値上げが続いている今なら、なおさら後者を選びたくなるでしょう。

ただ、1キログラムを買って200グラム余らせたら計算は変わります。食べた800グラムに800円を払ったことになり、100グラム当たりでは100円。500グラムの商品をすべて使った場合と同じです。冷蔵庫の奥で野菜がしなびていた、開封した食品の賞味期限が切れていた。そんな経験がある家庭では、単価の安さより「最後まで食べられる量か」を気にしたほうが、結果的に出費を抑えられるかもしれません。

食品価格は2026年も上昇が続いています。帝国データバンクの調査では、主要食品メーカー195社で2026年に値上げされる飲食料品は、9月30日時点で年間2万187品目に達する見通しです。10月だけでも3153品目が対象となり、1回当たりの平均値上げ率は10%。スーパーで「前より高くなった」と感じる場面は、しばらく続きそうです。

これまでは、安い店を探したり、大容量を選んだりすることが節約の定番でした。もちろん、今でも有効な方法です。ただ、値札の数字だけで買うものを決めると、せっかく安く買った食品を捨ててしまうことがあります。「いくらで買ったか」だけではなく、「いくら分食べ切れたか」。節約を見る角度を少し変えてみてもよさそうです。

 

食費は増えているのに、家計には余裕が生まれにくい

総務省の家計調査によると、2025年の二人以上の世帯における月平均の消費支出は31万4001円でした。そのうち食料への支出は9万4895円で、前年より名目で5.5%増えています。一方、物価変動の影響を除くと実質では1.2%減。支払う金額は増えているのに、その分たくさん買えているわけではありません。

こうなると、「安いうちに買っておこう」という気持ちも強くなります。スーパーに行けば、肉のジャンボパック、箱売りの飲料、2個買うと値引きされる商品などが並んでいます。日常的に使うもので、確実に消費できるならまとめ買いは十分にお得です。肉や魚を買った日に小分けして冷凍できる家庭なら、大容量パックも家計の味方になります。

一方で、家族の予定は意外と予定通りには進みません。急な外食が入ったり、夕食が不要になったりすれば、買っておいた食材が残ります。冷凍しようと思ったら冷凍庫がいっぱい、ということもあるでしょう。週末に1週間分を買ったものの、翌週まで残ってしまうケースも珍しくありません。

大容量と小容量のどちらがお得かは、売り場では決めきれない部分があります。よく食べるものは多めに買う、余らせやすいものは少なめにする。それだけでも、買い物の無駄は減らせます。自分の家でどれくらいのペースで食品がなくなるのかを知っておくと、特売や大容量に振り回されにくくなるでしょう。

 

10円安く買っても、300円分捨てれば節約にならない

食品ロスという言葉を聞くと、環境問題を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、家計の話として考えるとかなり身近です。消費者庁によれば、2024年度の日本の食品ロスは年間461万トン。そのうち家庭から出た食品ロスは224万トンで、全体の約半分を占めています。食品ロスによる経済損失は年間3.8兆円、国民1人当たりでは年間約3万1000円と推計されています。

スーパーでは、10円や20円の差を見比べて商品を選ぶことがあります。それ自体は立派な節約ですが、家に帰ってから300円の野菜を傷ませて捨ててしまえば、売り場で積み上げた節約分は簡単に消えてしまいます。250円の特売野菜を買って半分捨てるくらいなら、180円の小容量を全部食べたほうが財布から出ていく金額は少なくなります。とはいえ、小容量を選び続ければいいわけでもありません。小さいパックはグラム単価が高くなりやすく、買い物の回数が増えれば予定外の商品を手に取る機会も増えます。交通費がかかる人なら、その負担も無視できません。

結局のところ、「大容量は得、小容量は損」と一律には決められません。毎日食べるもの、冷凍できるもの、長期保存できるものは大容量でも使い切りやすいでしょう。反対に、葉物野菜や使用頻度の低い調味料など、余らせることが多い食品は少量を選ぶ。商品によって買い方を変えるほうが現実的です。

 

「最安値」より、わが家の適量を知っておく

節約を始めようとすると、特売日やポイント還元、スーパーごとの価格差が気になります。ただ、もっと手軽にできることがあります。冷蔵庫を開けて、「いつも何を余らせているか」を見てみることです。

牛乳を毎回少し残すなら、次は小さいサイズを選ぶ。キャベツを使い切れないなら半玉にする。大容量の肉を買った日は、冷蔵庫に入れたままにせず、その日のうちに小分けして冷凍する。逆に、毎朝食べるパンや保存しやすい食品なら、まとめ買いのほうが向いていることもあります。家計簿を細かくつけなくても、捨てることが多い食品を覚えておくだけなら始めやすいでしょう。

値上げが続くと、どうしても「もっと安いものを探さなければ」と思いがちです。しかし、50円安い商品を探すことと、500円分の食品を捨てないことでは、家計への影響が違います。価格を比較する節約に、買ったものをきちんと食べ切る工夫を足す。そのほうが無理なく続けられそうです。

買い物が上手だったかどうかは、レジを通った瞬間には分かりません。数日後、買った食品をきれいに使い切れたときに初めて「ちょうどよかった」と分かります。大容量だから買う、特売だから買うのではなく、「わが家なら使い切れるか」で選んでみる。値上げ時代のお得は、値札だけでは見つからなくなっているのかもしれません。

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