SNSをやめたら人生が変わった人と、仕事が減った人の違いとは
SNSをやめたら「気持ちが楽になった」という人たち
「SNSをやめたら毎日が落ち着いた」「人と比べなくなって気持ちが楽になった」。そんな声を耳にする機会が増えています。朝起きてすぐスマートフォンを開き、通勤中も動画や投稿を眺め、寝る直前まで通知を確認する生活は、多くの人が思っている以上に脳を疲れさせているようです。
総務省の2024年版情報通信白書によると、日本国内のSNS利用率は80%を超えており、20代では約9割に達しています。SNSは完全に生活インフラの一部になったといえますが、その一方で「情報が多すぎて疲れる」という悩みも広がっています。
特に疲れやすいのは、他人と自分を比較しやすい人かもしれません。友人の海外旅行、高級レストラン、転職報告、結婚、起業などの投稿を毎日見続けると、自分だけが前に進めていないような感覚になる瞬間があります。本来は“見せたい場面”だけが切り取られていると理解していても、視覚情報として大量に浴び続けることで心理的な影響を受けるのでしょう。
アメリカ心理学会が紹介している研究では、SNS利用時間が長い人ほど不安感や抑うつ傾向が高まりやすいという結果も報告されています。スマートフォン通知による集中力低下についても、多くの研究が行われており、一度中断された思考が元の状態に戻るまで20分以上かかるケースがあるともいわれています。
そのため、SNSから距離を置いたことで「夜に眠りやすくなった」「イライラする回数が減った」「本を読む時間が増えた」と感じる人がいるのではないでしょうか。特に経理職、研究職、エンジニア、事務職など、長時間の集中が求められる仕事では、通知による細かな中断が積み重なり、生産性低下につながっている可能性も考えられます。
SNSをやめて人生が好転したという人は、「情報が減った」こと以上に、「頭の中のノイズが減った」ことを実感しているのかもしれません。
一方で、SNSをやめたら仕事が減る人もいる
ただ、全員がSNSをやめて楽になるわけではありません。中には、「SNSをやめたら予約が減った」「問い合わせが来なくなった」という人もいます。この違いは、性格ではなく“仕事の種類”によるところが大きく変わるようです。
美容師、ネイリスト、カメラマン、デザイナー、飲食店経営、アパレル関係、インフルエンサー、フリーランスなどは、SNSが集客そのものになっているケースが少なくありません。InstagramやTikTokで作品や店舗情報を見た人が、「この人にお願いしたい」と感じて予約につながる流れは、今では一般的なものになっています。実際、ホットペッパービューティーなどの調査では、美容室選びでInstagramを参考にする若年層が増えているとされています。飲食店でも、「Instagramで見つけた」という理由で来店するケースは多く、写真や動画が店舗の第一印象になっています。
つまり、こうした仕事にとってSNSは単なる趣味アプリではなく、“営業ツール”であり、“看板”でもあるわけです。そのため、完全にSNSをやめてしまうと、新規顧客との接点が減少し、売上にも影響が出やすいと考えられます。
反対に、公務員や大企業勤務、製造業、インフラ関連など、発信頻度が評価に直結しにくい仕事では、SNSをやめても生活基盤が大きく変わるケースは少ない傾向があります。もちろん情報収集には役立ちますが、毎日投稿しなければ収入が減るわけではありません。
ここが、「SNSをやめて人生が楽になる人」と、「やめたら困る人」の大きな違いといえそうです。
本当に強い人は「SNS以外のつながり」を持っている
興味深いのは、SNSを減らしても仕事が安定している人ほど、“別の接点”を持っていることです。
紹介のお客様が多い人、長年の固定客がいる人、自社サイトやメールマガジンを運営している人、リアルなコミュニティとのつながりが強い人は、SNSだけに依存していません。そのため、アルゴリズム変更やアカウント停止による影響を受けにくい特徴があります。
InstagramやTikTokは表示ルールが頻繁に変わるため、昨日まで伸びていた投稿が急に表示されなくなることもあります。フォロワー数が多くても売上が安定するとは限らず、「発信を止めると不安になる」という状態に陥る人もいるようです。
こうした背景もあり、世界的には“デジタルデトックス”市場が拡大しています。Global Wellness Instituteによると、ウェルネス市場は世界全体で数兆ドル規模に達しており、スマホ疲れや情報疲労への関心も高まっています。だからといって、SNSが悪いわけではありません。地方在住でも全国の仕事につながるケースがありますし、趣味の発信が副業や独立につながる人もいます。会社員が転職のきっかけを得たり、小規模店舗が広告費をかけずに集客できたりする点は、SNS時代ならではのメリットともいえます。
重要なのは、「SNSを使うかどうか」ではなく、「SNSだけに依存していないかどうか」なのかもしれません。
SNSとの付き合い方で、これからの働き方は変わる
これからの時代は、「SNSを頑張る人」が強いというより、「SNSとの距離感を調整できる人」が安定していく時代になりそうです。毎日投稿し続けることに疲れている人も少なくありません。本当に必要なのは、自分の仕事にSNSがどれほど必要なのかを理解することだと思われます。
SNSがなくても評価される仕事なら、無理に発信し続けなくても問題は起きにくいはずです。反対に、個人ブランドで活動している人は、完全にやめるのではなく、負担を減らしながら活用する方法を探すほうが現実的かもしれません。
投稿頻度を下げる、通知を切る、仕事用と私生活用を分ける、見る時間を制限する。それだけでも精神的な疲労感は大きく変わると考えられます。
SNSは便利なアプリですが、人間関係、働き方、自己肯定感、収入にまで影響を与える存在になりました。だからこそ、「みんなが使っているから続ける」のではなく、自分に合った使い方を選ぶ時代に入っているのではないでしょうか。
SNSをやめて人生が整う人もいれば、仕事に影響が出る人もいます。その違いは、SNSが“娯楽”なのか、“仕事の入口”なのかによって大きく変わります。流されるように使い続けるのではなく、自分に必要な距離感を持てる人ほど、これからの時代を心地よく生きていけるようになるのかもしれません。
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