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不動産売却のゴールデンタイムは今?:外国人投資急増で変わる東京都心マンション市場

日本の不動産に、なぜ世界のお金が集まるのか

まず、数字から見てみましょう。不動産サービス大手のJLLの調査によると、2024年通年の日本の商業用不動産投資額は前年比63%増の5兆4,875億円となり、2015年以来9年ぶりに5兆円を超えました。 世界の多くの都市で投資が伸び悩む中、日本だけが異例の活況を見せているかたちです。

この背景には、円安という強烈な追い風があります。2024年の為替レートは1ドル150円前後で推移し、ドルやユーロを持つ海外の投資家から見れば、東京の物件は実質的に大幅な割引価格で買える状態が続いていました。ニューヨークやロンドンと比べても、東京都心のマンション価格はまだ割安という認識が世界の富裕層の間に広まっており、都市別に見た不動産投資額でも東京が世界1位(218億米ドル)になるなど、2024年を上回る好調ぶりが2025年も続いています。

ただし、海外投資家の動きには少し複雑な事情もあります。2023〜2024年の2年連続で、海外投資家は取得より売却が上回る「売り越し」の状態でした。それでも、2023年に減少に転じていた日本特化型の外資系ファンドの運用資産額が2024年第1四半期から再び増加に転じるなど、海外投資家の日本回帰の兆しが鮮明になってきています。 簡単にいえば、「一度ポートフォリオを整理した後、買い直しの準備が整ってきた」という段階です。これが、今の市場に新たな活気をもたらしている要因のひとつといえるでしょう。

 

都心の中古マンション価格、今どこまで上がっているのか

実際の価格はどうなっているのでしょうか。東日本不動産流通機構(レインズ)の公式データによると、2024年における首都圏中古マンションの成約物件㎡単価は76.88万円で、12年連続の上昇。この12年で2倍を超える上昇となっています。
都心ではさらに顕著です。野村不動産ソリューションズの調査では、2024年度下期の東京23区の平均成約坪単価は381万円(前期比+4.3%)で、集計開始以来6期連続で最高値を更新。特に都心6区は549万円(前期比+7.7%)と大きく上昇しました。 

買い手の構成も変わっています。港区を中心とした高価格帯の物件では、中古マンションの成約件数のうち約3割が外国人という状況も報告されています。以前は「外国人が都心のマンションを買う」というのはごく一部の話でしたが、いまや市場を動かすひとつの力になっています。
この上昇がいつまで続くかという点については、首都圏の中古マンション成約㎡単価は2025年10月時点で66カ月連続の上昇を記録しており、バブル期と同水準の異例の状態 が続いています。新築マンションの供給が都心で減っていることで、中古市場に需要が集まりやすい構造になっているのも、価格を下支えしている理由のひとつです。

 
「今売る」か「待つ」か、判断のポイントはどこか

マンションの売却タイミングは、なかなか難しい判断です。価格が上がっているうちに売りたい気持ちがある一方で、「もっと上がるかもしれない」という気持ちも出てきます。では、現時点で売却を真剣に検討すべきなのはどんな人でしょうか。

ひとつの目安として、購入時期と保有年数があります。2013〜2018年ごろに都心の物件を買った方は、当時の購入価格と現在の市場価格の差がかなり大きくなっている可能性があります。この含み益を確定させるという意味では、今の市場はまさに好機といえます。また、所有期間が5年を超えていれば、譲渡所得税の税率が「長期譲渡所得」として約20%(所得税15%+住民税5%)に抑えられます。5年未満の「短期譲渡所得」だと約39%になるため、この差は非常に大きく、手取り額に直結します。

一方で、今後のリスクとして気をつけておきたいのが金利の動きです。日本銀行は2024年3月にマイナス金利を解除し、同年7月には政策金利を0.25%に引き上げました。住宅ローンの変動金利はまだ低水準ですが、固定型は上昇傾向にあります。金利が本格的に上がれば、国内の購買力が落ち、需要が冷える可能性があります。円安の修正も、海外投資家の購買意欲を冷やす要因になるでしょう。「上がり続ける相場はない」という原則からすると、この波に乗れる時間は無限ではありません。

 
実際に売却を動かす前に確認しておきたいこと

いざ「売ろう」と思ったとき、まず取り組むべきは自分の物件が今の市場でどう評価されているかを把握することです。複数の不動産仲介会社に査定を依頼して、価格の幅と理由を確認するところから始まります。査定額が会社によって大きく違う場合は、それぞれの根拠を聞き比べることで、物件の強みと弱みが見えてきます。

海外の投資家が特に気にするポイントは、最寄り駅から徒歩10分以内であること、管理組合の財務状態が健全であること、そして1981年以降の新耐震基準に適合していることです。修繕積立金がしっかり積まれていて、長期修繕計画が整備されている物件ほど、外国人バイヤーを含めた幅広い層から評価されやすいといえるでしょう。
価格設定にも注意が必要です。強気の市場であっても、相場から大きく外れた売り出し価格は初動の問い合わせを減らし、長期化のリスクを生みます。海外の投資家は賃料に対する利回りを厳密に計算するため、東京都心の優良物件であれば表面利回り3〜4%前後を意識した水準で価格設定をしておくと、交渉がスムーズに進みやすいと考えられます。

今の東京の不動産市場は、円安・低金利・海外マネーの流入という条件が重なった、めったにない状況です。この条件のどれかひとつが変わったとき、市場の雰囲気も変わります。「売り時はいつか」という問いに正解はありませんが、今の価格水準を作り出している要因が今後も続くかどうかを冷静に考えること——それが、最終的な判断の軸になるでしょう。

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