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理想通りに育たないと不安になる?親が抱える将来への不安と期待の関係

子供への期待が「将来への不安」に変わるとき

「元気に育ってくれれば十分」と思っていたのに、子供が成長すると勉強や習い事、友人関係、進路まで気になってくる。子育てをしていれば、そんな変化は珍しくありません。「もう少し勉強してほしい」「途中で投げ出さず続けてほしい」という気持ちも、子供の将来を思えば自然でしょう。ただ、期待が大きくなるほど、目の前にいる子供より、親が思い描いた「こう育ってほしい姿」を見てしまうことがあります。テストで70点を取った子供が喜んでいても、「次は80点を目指そう」「○○君は90点だったらしいよ」と言いたくなる場面が、その分かりやすい例です。

親が焦る理由は、70点という現在の結果だけにあるとは限りません。「このまま成績が上がらなかったら」「希望する学校へ行けなかったら」「社会に出て苦労したら」と、まだ起きていない数年先まで一気に想像するためです。厚生労働省の21世紀出生児縦断調査では、3歳6か月の子供を持つ家庭を対象にした第4回調査で、子育てについて「負担に思うことや悩みがある」と答えた割合は87.0%でした。「気持ちに余裕をもって子どもに接することができない」と答えた人も9,148人に上っています。2004~2005年に実施された調査なので現在と単純比較はできませんが、子供を大切に思う気持ちと不安が同時に存在すること自体は、特別なことではないと考えられます。

 

比較してしまうのは親の性格だけが原因ではない

「人の子と比べても意味がない」と頭では分かっていても、授業参観や習い事で同年代の子供を見ると気になるものです。以前できなかったことができるようになったわが子より、もっと先を走っている子へ目が向くこともあります。そこにSNSが加われば、難関校への合格や大会での受賞、楽しそうな家族の姿など、他人の「うまくいった場面」を日常的に見ることになります。しかし、画面に映っているのはその家庭の一部分です。努力が実らなかった時期や親子げんかまで同じ割合で公開されるわけではありません。それでも結果だけが目に入るため、「うちは遅れているのでは」と感じやすくなるのでしょう。

比較の奥には、「自分の選択で子供の将来が変わるかもしれない」という親の責任感もあります。塾へ通わせるのか、どの習い事を選ぶのか、中学受験をするのか。選択肢が増えるほど、「正しい選択をしなければ」という焦りも生まれます。前述の厚生労働省調査では、「子どもについてまわりの目や評価が気になる」と答えた人は8.3%、「子どもの成長の度合いが気になる」は7.6%でした。割合だけを見れば大きくありませんが、周囲からの評価や成長の速さが、実際に子育ての悩みとして挙げられている点は見逃せません。国立教育政策研究所も全国学力・学習状況調査で、児童生徒の家庭環境や保護者の教育に関する考え方を把握する調査を整備しています。家庭の教育観が子供の成長を考えるうえで一つの要素として扱われていることが分かります。

 

親が不安なことと子供が困っていることは別

期待が強くなりすぎると、「子供のため」と「親が安心したい」という気持ちの境目が分かりにくくなります。子供が「今日は勉強したくない」と言えば、「このまま勉強嫌いになったらどうしよう」と心配し、習い事を辞めたいと言えば、「すぐに諦める性格になってしまうのでは」と考える。しかし、今日勉強しなかったことと将来勉強しなくなることは同じではありません。一つの習い事を辞めることが、そのまま忍耐力の不足につながるとも限らないでしょう。親は社会経験が長いぶん、現在の小さな出来事から先のリスクまで予測できます。その力が、ときには不安を必要以上に膨らませてしまうと考えられます。

焦りを感じたら、「実際に困っているのは子供なのか、それとも自分なのか」を分けて考えると整理しやすくなります。友人関係で悩んでいる、勉強についていけないなど、本人が助けを求めているなら支える必要があります。一方、子供は楽しそうなのに、「周囲より遅れている」「もっと上を目指してほしい」と親だけが落ち着かないなら、そこには親自身の不安が含まれているかもしれません。子供の結果を「自分の育て方は正しかったか」という親自身の評価と結びつけるほど、失敗を子供本人の経験として見守ることは難しくなります。期待をなくすより、「これは誰の不安なのか」と立ち止まるほうが、現実的な方法といえるでしょう。

 

結果より「昨日から何が変わったか」を見る

子供の成長は、毎月同じ速度で進むわけではありません。勉強に興味がなかった子が突然本を読み始めたり、長く続けていた習い事への熱が冷めたりすることもあります。ところが成績や順位は数字で表れるため、親の目はどうしても結果へ向きがちです。80点から85点になれば5点の変化はすぐ分かりますが、「自分から机に向かった」「分からない問題を質問できた」といった成長は数字には表れません。結果だけで判断すると、子供が積み重ねている小さな変化を見落としてしまう可能性があります。

親の焦りをゼロにする必要はないでしょう。「将来困ってほしくない」という気持ちは、子供を思うからこそ生まれる面もあります。ただ、その気持ちをそのまま子供へ渡す必要はありません。「どうしてできないの?」と聞く代わりに、「どこが難しかった?」と聞くだけでも会話は変わります。周囲の子供と比べる前に、半年前や1年前のわが子と比べれば、以前は見えなかった成長に気づけることもあるでしょう。親が想像した未来へ急いで近づけるのではなく、今の子供がどこで困り、何を楽しみ、何を少しずつ身につけているのかを見る。期待の形を子供の成長に合わせて変えていくことが、親自身の焦りを和らげ、子供が安心して挑戦できる関係につながっていくのではないでしょうか。

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学問・教育

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