自由時間はあるのに何もできない?「やりたいこと」と現実のギャップ
自由時間はあるはずなのに、やりたいことができない
休日になったら映画を観よう。気になっていた店にも行きたいし、少し遠出もしてみたい。平日はそんなことを考えているのに、いざ休みになると洗濯や掃除、買い物を済ませるだけで午後になってしまう。少し休もうとスマートフォンを開いたら、気づけば夕方。結局、楽しみにしていたことは何もできず、また月曜日を迎える。
こんな休日に心当たりがある人は少なくないはずです。やりたいことがないわけではなく、むしろ興味のあることは次々と増えていく。それなのに、実際の行動はいつも似たようなものになってしまいます。総務省の2021年「社会生活基本調査」によると、10歳以上の人が趣味・娯楽に使う時間は、週全体の1日平均で約40分でした。仕事や家事、睡眠などを含めた1日の中で、趣味に充てられる時間は決して多くありません。
旅行やスポーツ、映画鑑賞など、休日に楽しめることは以前より幅広くなりました。動画配信サービスを利用すれば、自宅にいながら映画やドラマを好きな時間に楽しめます。それでも、選択肢が豊富になったことと、自由時間を満足に過ごせることは別の話です。やりたいことを探すのは簡単になった一方で、それを実行する時間や気力を確保するのは、相変わらず難しい状況が続いています。
時間がないだけではない、休日に何もしたくなくなる理由
やりたいことができない理由として、真っ先に思い浮かぶのは時間不足です。ただ、実際には時間が空いていても行動できないことがあります。
平日は仕事に追われ、帰宅後は食事や家事を済ませるだけで精いっぱい。週末になってようやく時間ができても、外出の準備をする気になれず、自宅で過ごしてしまう。旅行に行きたい気持ちはあっても、行き先を調べて交通手段を決め、宿泊先を予約するところまで考えると面倒に感じられます。自由時間があっても、それを楽しむだけの体力や気力が残っているとは限りません。特に仕事と家事、育児を両立している人にとって、休日は好きなことをする日というより、平日にできなかった用事を片づける日になりがちです。
家計の事情も無視できません。総務省が発表した2025年平均の消費者物価指数は、総合指数が前年比3.2%上昇しました。食費や日用品など生活に欠かせない支出が増えれば、外食や旅行、趣味に使うお金を控えようとする人も出てきます。
以前なら気軽に出かけていた場所でも、交通費や食事代を計算しているうちに、今回はやめておこうという気持ちになるかもしれません。その点、スマートフォンは手軽です。動画を観たり、SNSを眺めたりするだけなら、出かける準備も必要なく、追加の出費を抑えられる場合も多い。こうした手軽さから、特に予定を決めない休日は、いつの間にかスマートフォン中心の過ごし方になってしまうこともあると考えられます。
娯楽は増えたのに、休日の満足感が追いつかない
余暇の過ごし方が変わった背景には、消費の変化も関係しています。以前は映画を観るなら映画館へ行き、買い物をするなら店に足を運ぶのが一般的でした。今では映画も買い物も自宅で楽しめます。
総務省の2021年「社会生活基本調査」では、10歳以上の「動画共有・配信サービスの利用」の行動者率は52.1%でした。同じ調査で「趣味・娯楽」全体の行動者率は86.3%となっており、デジタルを通じた娯楽が広く利用されていることがわかります。ただし、この調査は新型コロナウイルス感染症の影響を受けた時期に実施されているため、現在の余暇の実態とそのまま重ねることはできません。
便利になった反面、何を楽しむか決めること自体が難しくなった面もあります。動画配信サービスを開けば観たい作品が次々と見つかり、SNSには話題の飲食店や旅行先、おすすめの商品が流れてきます。気になる情報を保存しているうちに、行きたい場所や欲しいものばかりが増えていきます。
週末に何をしようかと調べていたはずが、結局どこにも行かず、画面を眺めるだけで時間が過ぎてしまったという経験も珍しくありません。もちろん、自宅で動画を観たり、何もせずに過ごしたりすることが悪いわけではありません。ただ、本当は別のことをしたかったのに、なんとなく時間を使ってしまったと感じるなら、余暇の過ごし方を見直すきっかけになるかもしれません。お金を使ったり、多くの情報に触れたりすることが、必ずしも休日の満足につながるとは限りません。
やりたいことを全部叶えようとしない休日の過ごし方
休日を充実させようとして、予定を詰め込みすぎるのも考えものです。朝から運動をして、午後は買い物、夜は友人と食事。予定通りに過ごせれば楽しいものの、毎週そんな休日を送っていては疲れてしまいます。
SNSで旅行や趣味を楽しむ人の投稿を見ると、自分も何かしなければと焦ることがあるかもしれません。しかし、他人の休日と自分の休日を比べる必要はないはずです。疲れているなら家で休むのもいいですし、特に目的を決めずに近所を散歩するだけでも十分です。自由時間まで成果や効率を求めてしまうと、せっかくの休みが、やるべきことをこなす時間に変わってしまいます。
やりたいことがなかなか実現しないなら、少しだけ予定の立て方を変える方法もあります。旅行に行きたいなら、まずは日帰りで出かけられる場所を候補にする。運動を始めたいなら、ジムに入会する前に近所を歩く時間をつくる。読みたい本があるなら、休日にまとめて読むのではなく、寝る前の10分を読書に充てる。
最初から大きな予定を立てるより、今の生活の中で無理なくできることから始めた方が、実際の行動につながりやすくなります。休日の満足感は、出かけた場所の数や使ったお金だけで決まるものではありません。
ずっと気になっていた店でランチを食べたり、観たかった映画を一本観たりするだけでも、十分に楽しい休日になります。次の休みに何をしようかと考えたとき、予定をいくつも並べるのではなく、今週はこれだけできればいいと思えることを選ぶ。
そんな過ごし方なら、休日が終わったときの気持ちも少し変わってくるはずです。
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