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「鬼門の8月」再び、ビットコインは調整局面を乗り越えるか

8月だから下がる、では説明できないビットコイン相場

ビットコイン市場では、8月になると「今年も下がるのでは」と警戒する声が聞かれます。それも無理はありません。過去12年間を見ると8月は8回マイナスとなり、2022年8月は約14%、2023年8月は11%を超えて下落しました。2024年8月も月間で約8.6%下落しています。数字だけを並べれば、8月はビットコインにとって相性の悪い月に見えるでしょう。ただし、2021年8月には10%を超える上昇を記録しています。過去に下落が多かったという事実と、今年も下落するという予測は分けて考える必要があります。

そもそもビットコインは24時間365日、世界各地で取引されています。そのため「欧米の投資家が夏休みに入るから下落する」と説明するだけでは十分ではありません。注目したいのは、買い注文と売り注文のバランスです。市場の売買が薄くなったところへ大きな売りが出れば、それを受け止める買い手が少ないため、価格は普段より動きやすくなります。反対に十分な買い資金が入っていれば、売りが増えても価格が大きく崩れない場合があります。「鬼門の8月」の正体を探るには、季節そのものより、下落したときに買い手が現れるかを見るほうが実態をつかみやすいと考えられます。

 

6万ドル台を守れるかがひとつの焦点に

2026年のビットコインは、年初から激しい値動きを経験しています。2月には6万ドル近辺まで下落し、その後は反発したものの、夏に入っても力強い上昇相場へ戻ったとは言い切れません。8月上旬には6万5000ドル前後で推移する場面もあり、6万ドル台で買いが続くかが注目されています。ただし「6万ドルを割ったら下落相場」「維持すれば上昇相場」と単純に判断するのも早計でしょう。価格が下がったあとに安値を切り上げられるか、売買が増えながら反発できるかなど、その後の動きまで確認する必要があります。

ここで影響してくるのが米国の金融政策です。金利が高い状態では、投資家は値動きの大きなビットコインより、一定の利回りが得られる米国債などへ資金を振り向けやすくなります。反対に利下げへの期待が高まれば、債券などの魅力が相対的に低下し、株式やビットコインへ資金が戻る可能性が出てきます。そのため、米国の物価や雇用に関する経済指標が発表された直後にビットコインが大きく動くことも珍しくありません。暗号資産だけを見て相場を判断する時代から、世界のマネーがどこへ向かっているのかを見る時代へ変わったといえるでしょう。

 

ETFへの資金は買い手の強さを知る手掛かり

現在のビットコイン市場で、買い手の動きを知る材料のひとつが米国の現物ビットコインETFです。2024年に米国で取引が始まってから、暗号資産取引所を直接利用しなくても、証券市場を通じてビットコインへ投資しやすくなりました。個人投資家だけではなく、大きな資金を動かす機関投資家にとっても投資の選択肢が広がったことになります。ETFへ継続的に資金が入れば、新たな買い需要が生まれやすく、相場を支える力になることが期待されます。

一方で、ETFへの資金流入だけを見て相場全体を判断することはできません。企業によるビットコイン保有、長期保有者による売却、先物などのデリバティブ取引も価格を大きく動かします。特に注意したいのが、価格下落によってレバレッジをかけた取引の強制決済が増えるケースです。売りが価格を押し下げ、その下落によって新たな売りが発生すると、短時間で値下がりが加速することがあります。ETFは「相場を決める存在」というより、市場に新しい買い資金が入っているかを確認する代表的な手掛かりと見るのが自然でしょう。

 

「鬼門」を越える条件は買い手が戻ること

ビットコインが8月の調整を乗り越えられるかを見るなら、価格だけではなく、売られたときの反応に目を向けたいところです。ETFへの資金流入が回復し、米国の金利低下への期待が高まり、6万ドル台で安値を切り上げる動きが続けば、売りを受け止める資金が戻ってきた可能性があります。反対にETFから資金が流出し、金利も高止まりした状態で安値を更新していけば、買い手が十分ではなく、調整が長引く可能性もあると考えられます。

「鬼門の8月」という言葉は分かりやすいものの、相場を動かしているのはカレンダーではなく投資家の資金です。ビットコインが下がったとき、誰が売っているのかだけでなく、その売りを誰が買っているのかを見ることで、市場の変化が見えやすくなります。過去の8月に下落が多かったというデータは参考になりますが、それだけで未来の価格は決まりません。ETFへの資金、米国金利、価格の下値の動きを組み合わせて見ることで、調整が続いているのか、それとも反発への準備が進んでいるのかを判断しやすくなるのではないでしょうか。8月を大きく崩れずに通過できれば、秋以降のビットコイン相場にも明るい材料になることが期待されます。

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