不動産クラウドファンディングとは?小口投資の実態と知っておきたいリスク
不動産クラウドファンディングとはどんな仕組みか
不動産クラウドファンディングとは、インターネットを通じて複数の投資家から資金を集め、その資金で事業者が不動産を取得・運用し、得られた利益を投資家へ分配する仕組みです。投資対象はマンションやホテル、商業施設、オフィスなどさまざまで、投資家は物件を丸ごと購入するのではなく、ファンドという形で一部の資金を負担します。サービスによっては1万円程度から参加できるため、数百万円から数千万円の資金が必要になりやすい現物不動産投資と比べると、かなり始めやすい方法といえるでしょう。
収益のもとになるのは、主に物件から得られる賃料収入や売却益です。事業者が物件の取得や入居者管理、修繕、売却などを担うため、投資家自身が大家として管理業務を行う必要はありません。2017年の不動産特定共同事業法の改正によって電子取引に関する制度が整備され、申し込みから契約までオンラインで完結できるサービスも増えました。スマートフォンから物件情報を確認し、少額で投資できる手軽さが、不動産投資の入り口を広げたと考えられます。
利回り5%なら本当に5%儲かるのか
不動産クラウドファンディングの募集ページでは、「予定利回り4%」「想定利回り5%」といった数字が大きく掲載されることがあります。仮に100万円を予定利回り5%、運用期間1年のファンドへ投資し、計画通りに運用された場合、単純計算では税引前で約5万円の利益になります。銀行預金の金利と比較すれば魅力を感じる人もいるでしょう。しかし、この5%は約束された利益ではありません。あくまで物件が想定通りに稼働し、計画した収入や売却価格を確保できた場合に期待される数字です。
不動産から利益を得る方法は、大きく分けると賃料収入と売却益があります。入居者が減れば賃料収入は下がり、想定より安い価格でしか物件を売却できなければ収益も減少します。修繕費の増加や災害などが運用に影響する可能性もあります。そのため、予定利回りが高いという理由だけで魅力的な投資先とは判断できません。なぜ5%の利益を出せる計画なのか、その収益は賃料から生まれるのか、それとも売却益を大きく見込んでいるのかを見る必要があります。高い利回りの裏側に相応のリスクが含まれていないかを確認する視点が、投資判断では欠かせないと考えられます。
優先劣後方式があっても元本が保証されるわけではない
投資家のリスクを抑える仕組みとして、多くの不動産クラウドファンディングで採用されているのが「優先劣後方式」です。投資家が優先出資者、事業者などが劣後出資者となり、不動産の運用で損失が発生した場合には、一定範囲まで劣後出資部分から損失を負担します。仮に1億円の不動産を投資家9000万円、事業者1000万円の資金で運用している場合、物件価値が500万円下落したとしても、計算上は事業者側の1000万円の範囲で損失を吸収できます。投資家の元本への影響を和らげる仕組みとして機能することが期待されます。
しかし、1000万円を超える損失が発生すれば話は変わります。優先劣後方式は元本保証ではなく、損失に対するクッションを設けているにすぎません。確認したいのは「優先劣後方式を採用しているか」だけではなく、事業者が何%を劣後出資しているのかという点です。同時に、物件をいくらで取得し、どのような根拠で将来の売却価格を設定しているのかを見る必要もあるでしょう。不動産クラウドファンディングでは、投資後に自由に換金できない案件もあります。運用期間が1年なら、その間は資金を動かせない可能性があるため、生活費や近いうちに使う予定のお金ではなく、余裕資金で参加することが現実的といえます。
「物件を買う投資」から「事業者を選ぶ投資」へ
不動産クラウドファンディングの実態を考えるうえで注目したいのは、投資家自身が不動産を管理しなくてよい点です。現物不動産であれば、購入する地域や物件を自分で調べ、購入価格を判断し、入居者募集や建物管理にも関わります。一方、不動産クラウドファンディングでは、物件の取得から運用、売却まで多くの仕事を事業者に任せます。手間が減る半面、投資結果が事業者の物件選定や運用能力、情報開示の質に左右されやすくなります。言い換えれば、不動産クラウドファンディングは「どの物件へ投資するか」と同時に「どの事業者へ資金を預けるか」を判断する投資でもあります。
そのため、ファンドを比較するときは予定利回りだけではなく、対象物件の所在地や用途、築年数、稼働状況、運用期間、売却計画、劣後出資割合、事業者の運用実績などにも目を向けたいところです。1万円から参加できることは、不動産投資への入り口を大きく広げましたが、投資額が小さいから安全という意味ではありません。10万円を一つの案件へ集中させるより、投資先や運用期間を分散することで、一つの案件が資産全体へ与える影響を抑える方法も考えられます。不動産クラウドファンディングは「手軽に高い利回りを得る商品」ではなく、少額から不動産市場へ参加できる投資手段の一つです。目立つ利回りの数字だけを見るのではなく、「利益はどこから生まれるのか」「損失が出るとしたら何が原因になるのか」まで確認することが、自分に合った小口投資を見極めるポイントになるのではないでしょうか。
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